傷から芽生える

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高倉さんの家まで行って父親に怒られたのまではいいんですけど、高倉さんが帰ってきて親子喧嘩初めて、謝るタイミング逃しました。
これが早川陣太から来たLINEの要約である。
そして目の前にはその元凶の燐火。
まだ彼女からは何も聞いていないが何となく状況を察した。
しょうがないので陣太にLINEで燐火がここにいることを伝えて彼女に向き合った。
「で、また何をしでかしたんだい?」
「パパと喧嘩した。」
「それで家出と?」
「…まあ。」
分かり切っていたその答えを聞いて「はあ、」とため息をついた。
今日はそろそろ両親が帰ってくる。
出来ればその前に彼女を家に帰したいのだが少し難しそうだ。
「君は両親と仲がいいのか悪いのか微妙だね。」
「いい訳ないじゃないですか。」
そう言っているがそうとは一ミリたりとも思えない。
「喧嘩したのは大いに結構だけど、今日はこの後どうするの?」
「誰かに泊めてもらおうと思ったんですけど、」
「さすがに自業自得フルボッコにされた後だから泊めてって言いにくいと。」
「分かってるなら先輩の家に泊めてくださいよ。」
「冗談言わないでくれよ、さすがにこの年の男女が一つ屋根の下とかワッパものだから。」
そう言ってみた物の彼女の目はとても真剣である。
ここで断れば彼女が道ばたでねることになるので当然といえば当然だが。
と、ちょうどその時にポケットでケータイが鳴った。
開いて見てみると送り主は陣太。
内容は燐火に今日のことを謝りたいから家に来ると言うことだった。
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