傷から芽生える

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口の端からドロリと何かがこぼれた。
私は容赦なく続く打撃にひたすら耐えるしかなかった。
何度目かの打撃の後、遅まきながら彼を周りがねじ伏せるようにして止めたので打撃は止んだ。
彼は先生に連れて行かれたが私は今回のことを反省した。


「燐火、どうしてこんなところに来たんだい?」
彼は机に頬杖をついて私の目を見て聞いてきた。
「相談があるんだけど。」
「分かった。
何があったかいってごらん?」
私は俯きながら自分のしたことを彼に話した。
彼は私が唯一心を許せる先輩で何かあったときには必ず相談に乗ってくれる。
その時に彼は絶対に私を叱ったりしない。
秘密でたばこを吸ったのを見つかったときでさえ彼は叱らず、私に優しく注意してくれた。
怒らないから安心して事をしゃべることが出来る。
それが彼の良いところだ。
私は先輩に事のすべてを話した。
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