傷から芽生える

□1
4ページ/5ページ

先輩は私の話を聞き終えると頭を掻いて私に質問した。
「その早川って、陣太のことかい?」
「…そうですけど。」
先輩は珍しく浮かない顔をすると私に言った。
「どうしたんですか?」
「いや、アイツは君を殴ったときに泣いてなかったよね。」
「…はい。」
「実はあいつはかなりまずい奴なんだよ。
考えが深すぎるし。」
私は意味が分からないまま首を傾げた。
「まあ、何となく事情は分かったよ。
つまり今回は自分に付けが戻ってきたって事だね。ハハハ。」
「まあ、そうですね。」
私は自分の頬をさすりながら言う。
「さすがに今回は反省したんで。」
「そうか。
それじゃあ、ここで御開きにしようか。」
「はい。」
私はそうして先輩の家を後にした。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ