奇妙珍妙紀行
□反省兼確認
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「せしるー!!」
ファニーさんがさらにぎゅっと力を込める。
「ファニーさーん!」
すーっと香りを吸い込む。
人前に出る仕事柄だからか、服や髪から統一されたいいにおいがする。
「せしるせしるー!」
「ファニーさーん!」
「...俺は何を見せられてるんだ?」
「親バカか...ヘドが出そうだ」
「この性犯罪者」
みんなの辛辣な言葉をものともせず、最後までお互いの名前を呼びながら、めいっぱいアメリカ式の愛情表現で抱きしめてくれた。
─────────
「次はこのカーズなのだ!」
自信満々に叫ぶものの、動く気配がない。
「...もしかして慣れてないんじゃないか?」
ファニーさんに核心を突かれたようでカーズさんの顔が強張る。
柱の男がハグをするところは想像できない。
やはりどうしたらいいかわからないようだ。
「しょうがないなあ〜
ほら、カーズさん!」
側に移動して「ぎゅー!」と言いながら抱きしめる。
「こっ、効果音付きだと!?」
ファニーさんの驚き方が面白い。
一方カーズさんは呆然としたけどすぐに頬がゆるんで
「本当にせしるは小動物のようだなァー!」
と言って頭を撫でてくれた。
カーズさんからはいろんないい香りの植物を混ぜたのと、畳の草の香りが少し。
ずっとかいでいても全く気にならないような自然のにおい。
これが柱の男の香りか...
カーズさんのにおいを堪能していると、
「おい!吸収されてないか!?」
「!?」
「あ...すまない、うっかりしていたのだ。」
するとすでに半分ほど埋まっていた体が弾き返された、危うくおやつになるところだった。
吸収ってうっかりするものなのか...
終わったあと、
「楽しい時間だったぞ!
ずっとこのままでも良いくらいなのだ!」
と、満足げな笑みを浮かべた。