奇妙珍妙紀行

□日記の中のお友達
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『n+4日』

話せば話すほどてるくんが面白くて、ここ最近はもっぱら図書館に入り浸ってしまっている。
てるくんは持ち出し禁止の本だから読むときは司書さんに申請しないといけないんだけど、
もうすっかり"あの本の人"で顔馴染みになってしまってちょっと恥ずかしい。


『──てるくんって本から出ることはできないの?』

『僕もわからないんだ。なんせこんな姿だから方法を探すこともできないしね。』

『きっと元に戻りたいよね...』

『...最近は別にいいかな、なんて思ってるよ。
こんな姿になったのは自業自得だし。
...それにせしるがこうやって毎日会いに来てくれるだけで僕は十分嬉しいからね。』

そう返事が書かれた文体はちょっと字が汚かった。
感情も文に表れるのかな...

『本当に戻りたかったら私協力する!
私だって本じゃなくて、ちゃんとてるくんと会いたいから!』

『...ありがとう。
僕もせしるに会ってちゃんと声で話したいよ。』

『じゃあいっしょにがんばろう!
明日からいろいろ調べてみるから!』

『気持ちは嬉しいけど、どうか無理はしないで。
今こうやってここに来てくれてるだけでもせしるの大事な時間を使ってるってことわかってるからさ。』

『大丈夫!てるくんも自分が本になったときのこと、いろいろ考えてみて!』

『わかった。せしる...本当にありがとう。』


今日はこれでてるくんと別れた。
これから忙しくなりそうだ!
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