「あほかーーーーっ!!なに考えてんだ貴様らーーーー!!」 「お、おい落ち着けってfirst name。それ日本語だぞ」 「いいから黙ってそこに座れ!フレッドお前もだ!早く!!」 「悪かったって!わかった座る、座るから!叩くなよ!」 可愛い顔が台無しだ、と思う暇もない。これは相当怒っているやつだ。大人しく並んで床に正座すると、first nameはわめきだした。 「自分たちがなにしたかわかってるの」 「いやなにって」 「だってあれどう考えても」 「「告白だぜ」」 「そんなことはわかってる!だからこそどういうつもりなのか聞いてるの!」 ついさっき、ほんの数分前だ。 − first name、僕、君のことが − レイブンクローでいちばんのイケメンにfirst nameが告白されようとしている。どうして俺がそんなことを知っているかって?好きだからさ。ずっと見てれば分かる。あいつがfirst nameのことを好きなのは、彼女によく話しかけるからわかりやすかった。「この本おもしろいよ」と勧めたり、まだ三ヶ月も前なのにクリスマスの予定を聞いていたり、もう本当に、その度毎回気が気じゃない。 − おいジョージ、あれ告白だぞ − − わかってる − − 止めなくていいのか − − 俺に止める権利は − − バカ言うな!付き合っちまったら次のホグズミードもハロウィンもクリスマスもおしまいだぞ! − ほら行け!と、俺はフレッドに押されて、飛び出したのはfirst nameとレイブンクロー男の(名前はたしかロジャー・デイビース)の間だった。 − ジョージ − − ふ、フレッドが探してたぞ!寮に戻ろうfirst name − − ちょっ、ジョージったら − で、連れ去るように寮に帰ってきたわけだが。 「かわいそうなロジャー!きっと今頃落ち込んでるわよ」 「そんなにあいつが好きなのか!?」 「そんなことは問題じゃないの!好きな人に好きだっていうのにどれくらいの勇気がいるのかわかってるの!?どうして関係もないあなたたちがそれを踏みにじるのよ!」 「それはっ」 「それはこいつがお前のこと好きだか……あっ」 ああ。 最悪だ最悪。なんてこった。あっ、じゃねんだよこの大バカ野郎!俺より先に言うことあるか!やべーやっちまったみたいな顔してんじゃねーよ!first nameの顔見れねーじゃねーか。 「こういうこと、ジョージ。わかる?」 「わか、わかる……」 「謝ってくる」 「えっ」 「だってお前こくは」 「わたし、ロジャーに告白されるの嫌じゃないもの」 いっそ殺してくれと!アバダケダブラでも影から突き落とすのでも心臓を一突きでもなんでも!とりあえずフレッドをあとで一発殴ろう。ああ、行っちまう。好きだったのに、好きだったのに、 「話は、帰ってきてから聞いてあげる」 「えっ」 「だからちゃんと、あなたが言って」 立ち止まってドアの方を向いたままfirst nameは言った。少しだけ見える耳が真っ赤で、 あの、正直に言っていいか? 勝った!!! い、いやいやまだ自惚れちゃダメだ。帰ってくるまでにfirst nameを確実に惚れさせる愛の告白を準備しなくちゃ。フレッドを殴るのを忘れずに。 愛の告白 「ロジャーごめんなさい、わたしジョージが好きなの!」 「えっ、なに言ってるの?」 「えっ」 「借りてた本、返そうと」 「えっ!!ごめん!!わたしてっきり」 「いいんだ、それじゃ」 ( あーあ、ジョージ・ウィーズリーには叶いっこないな ) |