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□司が小さくなりました
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「うう〜ん……」
 身を捩らせ、司はうっすらと目を開ける。
 すると、何やらゴツゴツとした感触が自分の体全身に感じる。
 目を開け、パッと体を起こすと高い視界に、目の前がくらくらした。
「目ぇ覚めたかいや、司ぁ。」
「なっ…!段野?!」
 思いもよらない人物が目の前におり、司は思わず身を硬直させる。
 どうやら、自分は段野の肩の上にいるらしい。
 通りでゴツゴツした感触と、この高い視界があるわけだ。
「何で段野がここにおるんならぁ!陽ちゃんや数ちゃんは…!」
「お前ンことで、チームのモン集めて緊急会議じゃ。」
「ほォか……」

 と、ここで安堵の息を吐きたい所。
 だが、司はぶるんぶるんと大きく首を横に振り、違う!と声を撒き散らす。
「何でワシが、段野の肩の上に…!下ろせや!コラァ!!」
「……その姿で絡まれてみぃ、ゴボゴボにされるんがオチじゃ。」
「うっ……」
 確かに、段野の言うことにも一理ある。
 まさか子供に殴りかかったりはされないとは思うが、何が起こるかは分かったものではない。
 司は大きくうな垂れ、仕方なく段野の肩にしがみ付いたのだった。

「じゃがのォ、段野ぉ……」
「何じゃい、まだ何かあるんか?」
「緊急会議は分かったがの、何でお前と一緒に行動しとんのじゃい。」
 司の言葉に、段野は一瞬ピクリと表情を歪ませる。
 そして溜息混じりに呟いた。
「……いっつも喧嘩ばっかじゃったけェ、たまにはえかろォがいや。」
「ム…ほんじゃ、一時休戦っちゅーことか。」
「まあ、そういうことよ。」

 薄く笑みを浮かべ、段野はまた歩き出す。
 司はよくよく辺りを見回してみれば、ここの場所は平和公園内。
 今の時間帯は人気を感じさせず、柔らかな風の音は二人の肌を撫で、暖かい日の光は二人を包んでいた。
 見たことのない、高い視界に映し出されるこの景色。
 決して悪いものではないなと、司自身もそう感じたのだった。


「ところでのォ、何か心当たりとかないんか?そがな姿になったっちゅーわけは。」
「さあのォ…サッパリじゃわいやぁ。」
 そう言いながらも、司はのんきに段野の肩にちょこんと座っている。
 尚且つ、口笛まで吹く始末だ。
 こんな姿になっているのにもかかわらず、何故のんきでいられるのか不思議に思う段野だった。


 ―――グゴルルルウゥ……


「な、何じゃい!今の音は?!」
「へへ、ワシの腹の音よ……」
 言って、司はコテンッと段野の横顔に持たれかかる。
 そしてお腹をスリスリと押さえながら、小さく息を吐いた。
「腹減ったのォ…はー、我慢できん……」
「飯、食っとらんのか…ワリャぁ……」
「段野ぉ…頼まぁい、何か食わしてくれぇ…朝から何も喰っとらんのじゃあぁ……」
「………」

 2007/4/09
 To be continued...

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