他ジャンル小説

□DQM-J
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◆このシリーズで登場するモンスター◆
・キングスペーディオ(攻撃・メイン)
・まおうのつかい(攻撃・スタンバイ)
・サイレス(補助・メイン)
・ジャミラス(回復・メイン)



 我が名はキャプテン・クロウ。
 七つの島をまたにかける海賊だ。
 ボートでノコノコと海を渡る者どもを襲い、海の藻屑とするのが我が生き様。
 かつて「光の航路」を探し求めて旅をしていたのは、ずいぶん前の話だ。
 だが一人の少年に会い、ここまでの屈辱を受けようとは……

 自分自身でも予想がつかなかった。
 いとも簡単に我が部下を退かせ、あろうことか先生までもがこてんぱんにやられてしまう。
 そこで私自身が直接、手を下したのだが――


『まさか…この私が…っ!』
 体に力が入らず、意識が朦朧とする。
 傷だらけのこの体は、言うことを聞いてくれない。
 この私が負ける…?
 たかが人間ごときが連れているモンスターに…? 

『くっ……』
 クロウは力なくガクリとうな垂れ、その場に倒れこんだ。
 目の前の敵が力尽き、ジョーカーやモンスター達も安堵の息をつく。
 ジョーカーの三体のモンスターも、ハアハアと肩で大きく息をしていた。
 このモンスター達も、クロウに余裕で勝ったわけではない。
 互いにボロボロになり、どちらかがすぐに倒れてもおかしくない状況だった。

『やったな、ジョーカー…我々が勝ったのだぞ…!』
 ジョーカーやジャミラスは、回復の呪文や薬草で傷ついた仲間の体を直していく。
 スペーディオは傷だらけながらも、嬉しそうに微笑んでいた。
 だが、その微笑ましい光景も長くは続かなかった。
 なんと倒した筈のクロウが、意識を取り戻したのか、その場からゆっくりと身を起こしていたのだ。
 いち早くその気配に気づいたサイレスは、まだ傷が完治していないにも関わらずサッと身構える。


「サイレス…?」
 急に身構えたサイレスを不思議に思ったジョーカーは、
 彼が見つめる視線の先を見る。
 が、視線を向けた瞬間に一瞬で体が凍りついたように動けなくなった。

「?!」
 この場にいた、誰もが目を見開いただろう。
 肩で大きく息をしているも、倒したはずのクロウがまた身構えていたのだから。
 思わず、スペーディオやサイレス、ジャミラスも戦闘態勢に入る。


『くっ…まさかこの私が敗れるとは…だが、負けは負けだ。素直に負けを認めよう……』
 どこか溜息混じりに、淡々と話すクロウ。
 だが、警戒心を取りきれないスペーディオ達はクロウを睨みつけている。
『キャプテン・クロウ、貴様…何か企んでいるのではあるまいな?』
 スペーディオの言葉に、クロウは小さくせせら笑う。

『フン…今更、命乞いをする馬鹿がいるか?――夢も果て、部下も失い、尚且つ勝負にも敗れ…もはや、私は屍同然だ。』
 いったんそこで言葉を区切り、クロウは小さく息を吐く。
 そしてキッとジョーカーを見据えたかと思うと、彼はとんでもないことを口にした。

 2007/3/8
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