愛しているから

□水龍の滝
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「…本当に大丈夫なんだな」

「うん、いざとなったら結界が守ってくれるはずだから」


心配する皆に笑顔を向けて言う。
本当は少し不安だけど、きっと大丈夫。

カバンの中にはかごめがくれたお菓子、腰には弥勒がどこからか持ってきてくれた刀。


「いい?妖怪に出くわしたらこれを投げるんだよ」


そう言って珊瑚が渡してくれたのは拳くらいの大きさの玉。
…手榴弾みたいなものかな?

それをカバンにしまうと、かごめが犬夜叉向かって言う。


「犬夜叉はなんかないの?」

「…けっ、これでも羽織ってろ」


犬夜叉は羽織っていた赤い衣を脱いで被せてくれた。


「火鼠の皮衣だ。そこらの鎧よりは丈夫に出来てる」

「…ありがとう」

「日が暮れるまでにはおめーの匂いを追って合流すっからよ」

「分かった。じゃあ、行ってきます」


美麗は皆に見送られて歩き出した。






幸いなことに、妖怪には1度も出くわさずに水龍の滝へたどり着く事が出来た。

ここは美麗がタイムスリップした時にいたあの祠のあった場所からそう離れていない。



「凄い……」


木々を通り抜けて目の前に現れた滝に息を呑む。

一筋の水が、屈折しながら崖を流れ落ちていた。その姿はさながら天へ昇る1匹の龍のよう。
きっと滝の名はこの見た目に由来するのだろう。

だが、百合に関係していそうなものは何一つ見つからない。
てっきり何か石碑のようなものでもあるのかと思っていたが、違うようだ。
ゲームの隠し通路のように滝の裏に洞窟が続いている訳でもない。崖の上もよく見えないけれど特に何もなさそうだ。

どうするべきかと滝壺の水面を眺めていると、その底で何かが光ったような気がした。


「?」


何か底に落ちているみたいだ。けれど一瞬光っただけで何があるのかは分からなかった。

ゴロゴロとした石によじ登って滝壺を覗き込む。
水は澄んでいるが、底は真っ暗で何も見えない。水深は思ったよりも深いらしい。



「なんだろ…きゃっ!!?」


目を凝らしてさらに近寄ろうとしたら、足を踏み外して石から滑り落ちてしまった。

落ちる─────!!



バシャァン!

冷たい水に身体が打ち付けられると、そのまま水の中へと吸い込まれるように沈んでいく。


嘘、上がれない…!

必死にもがいても少しも浮かぶことはなく、逆にどんどんそこへと引き込まれてしまう。


このままじゃ溺れ…

そう思ったところであることに気がつく。


あれ、私、息できてる…?






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