愛しているから
□決意
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パチパチと音を鳴らして燃える焚き火をぼんやりと見つめながら、美麗は百合の事を考えていた。
弥勒は、桔梗に浄化してもらっている。
珊瑚ちゃんとその弟だという琥珀くんは、そのすぐ近くの木にもたれかかって眠っているようだ。
浄化が終わったらしく、桔梗はなんとか目をあけられる程に回復した弥勒と少し話していたが、やがて立ち上がってこちらを見た。
真っ直ぐに見つめられて戸惑いを隠せないでいると、桔梗はそのまま美麗の元へと歩み寄る。
そして、少しの間黙って美麗を見つめた。
「…お前はおおかた、百合の生まれ変わりといったところか」
「は、はい。そうらしい、です……」
見ただけで分かるなんて凄いな、なんてぼんやりと考えながら返事する。
「そうか」
桔梗は返事を聞くや否や後ろを向いて歩き出した。
じっとその姿を見つめていると、桔梗は立ち止まり美麗背中を向けたままで言った。
「お前に百合の魂は救えない」
「え……?」
どういう事ですか、と聞く前に桔梗は闇の中に消えていった。
私に、百合の魂は救えない…?
百合に、一体何があったの?
気がつけば、かごめと七宝も寝てしまっていた。
犬夜叉はいない。
聞こう。百合のことを。
美麗は犬夜叉を探すために立ち上がった。
皆が眠っている場所から少し離れたところに犬夜叉はいた。
声をかける前に犬夜叉は美麗に気づいた。
「美麗か」
「犬夜叉、話があるの」
美麗はゆっくりと犬夜叉に近づいた。
「百合の事なんだけど」
「……わかった」
静かに返事をした犬夜叉を見て、その場に座った。
ここに来るまでは、こんな草の上に座るなんてごめんだと思っていたのに、今はなんの躊躇いもなく座れる。
私もこの時代の生活に少しずつ慣れてきたのかな。
見上げると、現代では見ることのできないほどの数の美しい星が輝いていた。
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