オベリスク

□その1、授与式。
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春らしい暖かな風は優しいけど、それをあまり嬉しくは思えないんだ。



01-02


「あら、身美ちゃんもう帰るの?」


『ん、またね。』


高校初日、始まったのは入学式ではなく体力テストだった。
生憎私の個性はそういった事には不向きで中学時代より多少記録が伸びた位だった。
ちょっとしたトラブルもあったみたいだけど、よく見てなかったし、興味もなかった。
体力テストが終わり今日は解散な為私は早く帰る準備をしていた。
すると近くにいたカエルの様な可愛らしい子に声を掛けられたけど私は早く病院に向かいたくて軽く返事をして教室から出たのだ。


今日も沢山話さなくちゃ、私は話したい事が山ほどあるから1日じゃ足りない、いつだって、1日は短いのだ。



早く、早く、そう思っていたせいか私は大分不注意で


-ドンッ-


『わ、ごめん』


横のお手洗いから出てきた人物にぶつかってしまい、反射で謝るとぶつかってしまった人物からは返事がなく顔を上げてみた。

するとぶつかってしまった人物は同じクラスの騒いでいた爆豪くんだった。
釣り上がった目は不機嫌に私を見下ろしている。

『あー、ごめんね、爆豪くん、私急いでるから、じゃあね』


口早にそう告げるて通り過ぎようとしたら、彼は何を思ったのか私の腕を掴んできたのだ。
何がしたいの、私急いでるんだけど。


「何か用事かよ」


用事だよ。
日課だよ。
昔から毎日急いでるよ。
君なんかに使う時間なんてないんだよ。


ついイラついてしまい、私は不機嫌に顔を歪めた。



『君に言う必要ないかな』


そう言って彼の手を払い除け、私は昇降口まで走った。
























早く会いたいよ。
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