春日山城
□宝物
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貴方はとても可哀想な人
大切な物を大切にできない
愛が強すぎて、歪んでしまって、壊してしまう
大丈夫よ、謙信
私は貴方の前から消えたりしない
貴方の歪んだその愛を全て受け止めるから
「愛してるわ、謙信」
何度斬りつけられても
何度殺されかけても
私は死なない、貴方の前からいなくならない
だから私に依存して?
私に貴方の衝動を全てぶつけていいのよ?
「紅」
「謙信」
冷たい視線に射抜かれる
でもその冷たい眼差しの奥には確かに熱がある
「愛してる」
「私もよ」
甘い言葉と反対に、私に与えられるのは痛み
それを苦痛だとは思わない
全てが貴方からの愛情だから
この体に刻まれた多くの傷は
それだけ貴方が私を愛してくれた証
だからこれは全て私の宝物
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