春日山城
□デート日和
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春日山城の一室
私にあてがわれた部屋は
信玄様からの贈り物の調度品や着物で
溢れていた
そして私は胡座をかく信玄様の
足の間にちょこんとおさまり
頭の上には信玄様が顎をのせ
私の髪を弄んでいる
私はというと手持ち無沙汰で
ただ信玄様の胸に体を預けている
会話のないこの時間が気まずいとか
そういうわけではなく
むしろ言葉を発さなくても
心地よいとすら思える
「紅」
「何でしょうか?信玄様?」
「たまには外に出かけるか?」
「いいんですか??
勝手に出歩いたりしたら
謙信様に怒られませんか??」
「謙信のことは気にするな
こうしてお前を抱いて過ごすのも
悪くないがたまには外にでて
何か美味いものでも食べよう」
「はい!!お供します!!」
子どものような無邪気な笑みを向けられ
私も思わずそう返事してしまった
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