安土城

□看病
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火照った顔に
潤んだ瞳
いつもより荒い息遣い



どうしてそんなにフェモロンを
ムンムン出してくるの?!?!



貴方は今、病人なんだよ?!?!
私に看病されてるんだよ?!?!
なのになんなのその色気っ!!!!




こういうのを生殺しって言うんだろうな
いつもより色気を放つ貴方にドキドキして
私の方まで体温が上がってしまう





「すみません紅様
ご迷惑おかけしてしまって…」





やや掠れた声で名前を呼ばれ
ドキっとしてしまう
あぁ、本当にダメ
三成君は今風邪で寝込んでるの!
私はそれを看病しているの!
それなのにムラムラしてしまう自分が憎い……





「迷惑なんかじゃないよ
あんなひどい雨の中何時間も外に
いたら誰だって風邪くらいひくよ
それに、三成君いつも頑張りすぎ…
たまには、甘えてくれても…
いいんだよ?
っていうか、甘えほしい…」






水に浸した手拭いを固く絞り
三成君の額にのせながら言うと
彼はかすかに口角をあげた






「紅様はお優しい方ですね
私は、貴女のその優しさに
いつも甘えさせてもらっていますよ」






目を細め、三成君は言った
なんでこの人はこう、こんなにも
色気というものを制御することが
できないんだろう…
貴方のひとつひとつの仕草や言葉に
ドキドキしすぎて心臓が何個あっても、足りないよ…





「ですが」

「ん?」

「もし、こんなわがままが
許されるのでしたら…
もう少しだけ、側にいてほしいです」





確実に1つ目の心臓が弾け飛んだと思った
貴方は私がこんなにもドキドキしてること知ってるの???
それとも知らずにそんなこと言うの??






「そんなの、お安い御用だよ
いつまでも三成君の側にいるから
安心して休んで??ね??」

「貴女という方は本当にお優しいのですね
ますますわがままを言ってしまいそうに
なります…」

「何でも言って??
私にできることなら何でもするから」

「じゃあ、手を握ってもらえますか?
少しでも貴女を感じていたいので」





褥から差し伸ばされた手を握ると
いつもよりだいぶ熱い
この繋いだ手から私の想いが
少しでも届いたらいいな…

なんて思っていると三成君は
規則正しい寝息をたてて眠ったようだ
まじまじと色白の綺麗な顔を覗く

本当、お人形みたいに綺麗な顔
こんな綺麗で頭もよくて色気もあって
普通はモテる要素しかないんだけど
決定的に人間として欠けてる部分が
あるからなぁ…
そういえば前に秀吉さんもそんなこと
言ってたような気がするなぁ






「書物読むのに夢中になりすぎて
自分の生活おろそかにしちゃうとこも
たまに空気読めない発言するとこも
無意識にフェモロン撒き散らしてるとこも
全部全部、貴方の魅力だよ…
大好きだよ…三成君…」







どうかいい夢を見られますように
早くこの苦しさから解放されますように
そう願いながら眠る彼の頬に
そっとキスをした







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