安土城

□2度目の命
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『私も行きます!絶対に迷惑かけませんから…、どうかお側にいさせてください…っ』




無理言って信長様に戦に連れてってもらって……そこで闇討ちにあって…




『信長様っっ!!!』

『紅っ』




目の前に対峙してる敵とは別に、死角から弓で狙われていることに気づいた私は、とっさに信長様を庇うようにしてその矢を受けた


初めて本能寺で信長様を助けた時と同じ
考えるより先に行動していた
後先考えずに体が先に動く習性は治っていないらしい




「ごめんなさい、迷惑かけないって約束で連れて行っていただいたのに…」

「何を言っている、貴様はその身をていしてこの織田信長の命を救ったのだぞ?迷惑などではない
だが…、このようなことは二度とするな
貴様のか細い命を投げ打たずとも、俺は死なん」

「…ごめんなさい」

「責めたてているわけではない、俺は俺自身が傷つくよりお前が傷つくほうがよっぽどこたえるらしい…
だから、もう二度と自らを危険に晒すようなことはするな、よいな?」

「はい」




やっと、信長様は頬を緩めて微笑んでくれた
自分が傷つくより、相手が傷つく方がつらいのは私だって一緒だ
自分のことなんて考えるより先に、信長様を助けたいって思うくらいなんだから…




「家康に礼を言っておけよ、お前のために薬をあれこれ煎じて作ったのはあやつだからな」

「薬、ですか?」

「あぁ、矢の先に毒が塗ってあったらしい
傷自体は大したことないが、毒のせいで3日も目覚めなかったのだからな」




毒、という言葉に心臓が跳ね上がる
そうか…下手したら死んでたかもしれないんだ
そう考えたら背筋が冷たくなった




「信長様に何もなくてよかったです」

「自分より俺の身を案ずるとは、ずいぶん余裕なのだな」

「そういうわけじゃないですけど、ずっと寝てたので毒の記憶がないというか…
とにかく、信長様が無事で安心しました」

「本当に、おかしな女だ」




私が目覚めない間、きっと信長様はずっとついていてくださったんだろうな…
3日も寝てたってことは、信長様は3日も寝てないってことだよね??
ずっと、手を握っていてくれたんだ……




「ありがとうございます、信長様」




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