安土城

□2度目の命
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「紅」




大きくて温かい手が私の手を包み込んでいる
降り注ぐ声は私が目指してきたあの深い声




「信長…様?」




かすかに目を開けると眩しい光が差し込んでうまく目を開けられない、眩しさを感じながらもようやく目を開けると燃えるような炎と同じ色の瞳がまっすぐに私を覗いている




「紅、目覚めたか」

「信長様??……どうして、そんなに」




悲しそうな顔をしているんですか?
私を覗き込むその顔には心配と悲しみが滲んでいてそんな顔は貴方には似合わないから、いつものように威風堂々とした顔をしてもらおうとその頬に手を伸ばす




「悲しそうな顔…、信長様には似合いませんよ?」

「貴様、誰のせいで…」

「?」




そうだ、どうして私布団に寝ているんだろう?
どうして信長様、こんな悲しそうな顔をして私を見ているんだろう?




「っ!」




布団から起き上がろうとする体に鈍い痛みがはしる
信長様はそんな私を手で制し、布団におとなしく寝ているように促した




「貴様に二度も命を救われるとは、大した女だ…」




信長様の言葉に、ぼんやりとしていた記憶を手繰り寄せる




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