安土城

□お子様は寝る時間
4ページ/5ページ








台所に着くと案の定、政宗はタスキをかけて鍋に向かっていた




「なんだ?家康 もう根をあげたのか?」

「そうじゃないですけど、紅がお腹すいたって」

「ハンバーグが食べたい!」

「はんばぁぐ? あー、前に紅から聞いたことあるな
確か、切り刻んだ肉を捏ねて丸くして焼いたやつだったような」




政宗はハンバーグを作る材料があるか確認をし、かがんで紅の頭にポンと手を置いた




「はんばぁぐ、作ってやるからそれまで家康と遊んで待ってろよ?
いい子で待ってられるな??」

「うん!べに、まってる!」

「よーし、いい子だ」




政宗は家康にだけわかるようにドヤ顔してみせた




「いえやす〜遊ぼ〜」

「へぇ、あの家康が子ども手なづけるとはなぁ?」

「紅だからですよ
他の子どもなんて、うるさいだけです」

「へぇ、紅〜?
俺の名前は政宗だ、まさむね、わかるか?」

「まさむね?おめめ、いたいいたい?」

「あぁ、これか
そうだな 紅が口づけしてくれたら治ると思うぜ」

「ちょっと、子どもに何させようとしてるんですか やめてくださいよ」

「冗談だ、冗談
んじゃ、飯できるまで遊んでこい」

「あーい」

「全く…行くよ紅」




家康は紅の手をひいて台所を後にした
遊ぶ、と言ってもあてがないのでとりあえず庭に向かうことにした




「おや、家康様に紅様
お散歩ですか?」

「どうだ?家康 紅の子守は順調か?」




庭にいたのは秀吉と三成だった
いつもは書庫にこもっている三成が庭にいるなんて珍しいこともあると思いながら家康は2人を見た




「まぁ、ぼちぼちですかね
今 政宗さんに朝餉を作ってもらってます」

「そうか、まだ何も食べてなかったもんな
そうだ、さっき町でもらってきた菓子があるから少し食べるか?」

「おかし、たべる!」





ちょうどよく縁側にお茶をするための準備がしてあったので4人は縁側に腰掛けた




「ずっと書庫にこもってばかりだと体に良くないと、無理やり三成を連れ出して正解だったな
ほら、紅 冷ましてあるけど熱いかもしれないから気をつけろよ?」

「あーい」




紅はお茶をふーふーと冷ましながら一口飲み、お菓子を口にした




「んんん、おいしいぃ!!」



紅は花が咲いたように笑った




「「あ、紅だ」」




その笑顔を見て、家康と秀吉は
心の中で疑っていた気持ちが消えた
この笑い方は、あの平和ボケしている紅の笑い方だと確信したのだ




「こーら、あんまり食べると
朝餉が食べれなくなるだろ」

「あとひとつだけ…ちょーだい」

「…、しょーがないやつだな
でも、1つは多いから俺と半分こな」

「うん!はんぶんこする!」




満面の笑みを秀吉に向ける紅
家康はため息をついて秀吉を見た




「秀吉さん、あんまり甘やかさないでくださいよ紅が肥えたらどうするんですか」

「なんだか家康様、紅様のお母上みたいですね」

「家康もついに母性に目覚めたか」

「目覚めてません」

「紅〜、俺は肥えたお前も可愛いと思うぞ〜 美味いもん食って美味そうにするお前は愛らしいからな」

「…秀吉さん、子どもできたら絶対溺愛しますね…とことん甘やかしそう…」

「ん?なんだ?何か言ったか?」

「何でもないです」




その後、政宗から朝餉ができたと呼ばれたので家康は紅の手を引いて食堂へ向かった




.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ