IDOLiSH7

□アイドル就労時間外
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TRIGGERのプロモーションや
舞台演出を担当している私は
間違いなく誰よりも彼らのファンだ

1番近くで見ているからこそわかる
本当の彼らの姿を私は知っている
なんでも完璧にこなしているように
見えるTRIGGERも実はちゃんと
それなりに苦労して、苦悩して
そしてその壁を超えていく

私はそんな彼らが大好きだ
もちろん、ビジネスの上で…
と言えればいいんだけど違う

私は、業界人としてタブーを犯している







「今日のライブの演出も、よかったよ」

「ありがとう、天に褒めてもらうのが
1番嬉しいよ」







業界人としてのタブー
私は自分が担当しているアイドルと
恋人同士になってしまった
最初は純粋にTRIGGERのファンで
こんな素敵な人達の魅力をもっと
引き出したいと思いTRIGGERを研究した

でもTRIGGERのことを知れば知るほど
関係を深めれば深めるほど
これまでの感情とは違う感情が
芽生えてしまった

そしてそれは、私だけじゃなかった






『アイドルとして、こんな感情を
抱くのは間違ってる……
十分わかってる…、それでも僕は
君が好きなんだ廉』







天の気持ちを聞いた時は何かの
ドッキリかと思った
でもそれはドッキリでも、夢でもなくて
れっきとした現実だった

ずっと、自分の心の中だけに
秘めておくつもりだった気持ちが溢れた
私も天が好き、天ともっと一緒にいたい
欲張りな私が抑えられなかった





「おいで、廉
寂しかったでしょ?可愛がってあげる」




ステージの上の天使のようなスマイル
とは正反対の妖艶な微笑みに
心臓がドキリと跳ねた





「こんなふうにセクシーな天も大好き
だけど、アイドルやってる天使みたいな
天も…好きだよ」

「今はステージの上じゃないからね
アイドルの九条天はお休み
ファンサービスだってしないよ」

「私、ファンじゃないもん…今は…
今はただの天の彼女だもん…」

「くすっ、そうだったね
それじゃあ、ファンの子には見せない
愛する子にだけ見せる僕を
見せてあげるよ」






ゆっくりと顔が近づき
キスするくらいの距離で止まる
私はキスする気満々だったので
この距離で止められると恥ずかしい





「天っ…近い……」

「ライブだったらこんな至近距離で
見ることはできないからね
どう?もっともっと近づきたい?」




鼻と鼻が触れそうだ
息遣いを直に感じて心臓がますます
うるさくなる




「目、閉じないでよね
そのまま僕のこと、見ててよ」





そう言われ、目を閉じないでいると
そのまま天の唇が私の唇と重なる







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