IDOLiSH7
□カタオモイ
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廉と話す機会は意外にもすぐに訪れた
運命ってやつとか神の存在をこんなに感じたことはない
俺と廉は出会うべくして出会ったんだと本気で思った
しかし、俺の浮かれた考えは彼女の涙で一気に現実に戻された
そういえばさっき、親父はまた違う女と一緒にいたな……
「貴方は…、TRIGGERの八乙女楽さん…」
彼女の口から自分の名前が紡ぎ出される不覚にもドキッとしてしまった
ただ名前呼ばれただけなのに
「あんた、親父の愛人だろ、あいつ女をこんな外に放っとくなんてどんな神経してんだ」
「あ、違うんです
私が勝手にここにいるだけなんです」
あぁ、そうだった
親父の愛人になる女達は自ら親父を求めて集まってくるんだった、この廉だって、例外じゃない
「ふふ、八乙女社長の息子さんに
変なとこ見られちゃいましたね」
「あんた、親父のこと好きなのか?」
「え、あ…、はい もちろんです
八乙女社長は素敵な方ですから…
でも、私なんて、言い寄ってくる数多の女の中の1人にすぎないんですよね
ただの戯れでも、一緒の時間を過ごせるだけで幸せなんです」
目の前の人はそう言って微笑んだ
俺は何を聞いてるんだろう
自分で自分の首絞めてどうすんだ…
彼女は絶対に手の届かないところにいる、そう叩きつけられてもなお 俺は、あんたが好きだ
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