IDOLiSH7
□カタオモイ
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初めてだった
一目惚れってやつをしたのは
だが、その恋は決して報われるものじゃないというのも同時にわかっていた
彼女の隣にいたのは親父だった
つまり彼女は親父の愛人だってことだ
親父に愛人がいるのなんて今に始まったことじゃない、常に数人侍らせて飽きたら捨てる
そうやって親父に遊ばれる女にいちいち同情なんてしたことねぇし、気にとめたこともなかった
なのに、なんでだ
彼女だけは脳にこびりついて離れない
所詮親父の一時的な愛人だ、
女の方だって売り込みたいという思いや一瞬の金目当てのやつも少なくない
彼女だって、そうかもしれないのに
そんなことどうでもいいくらい、一瞬で彼女に心奪われた
「何をしている、行くぞ廉」
「はいっ、八乙女社長」
廉、そう呼ばれた彼女は花が咲いたような笑顔を親父に向けていた
その笑顔は俺に向けられたものじゃないのに、こんなにも胸を締め付ける
「廉、か」
俺は廉に恋をした
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