安土城
□芽生え
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その人は私なんかとは比べものにならないくらい大人で、勝ち目なんてなくて、何を考えているのか、本心が全く見えない雲のようにつかめそうでつかめない人
そんな人に恋をしてしまった私は、もう戻れない
わからなくて、届かなくて、勝てなくて、隣にすら並べない貴方を追いかけて
わかりたくて、届きたくて、勝とうなんて思わないから、せめて貴方の隣に立ちたいと願ってしまう
求めれば求めるほど、まるであなたは流れる雲のように私をおいてどこかに行ってしまう
追いかければ追いかけるほど、どんどんその距離は広がってしまうようで、もどかしい
貴方に見合う大人じゃないけど、貴方と対等に話せるほど聡明じゃないけど、貴方がこれまで歩んできた人生に比べたら私の今までの人生なんてぬるま湯にでもつかってるような、なんでもないようなものかもしれないけど
それでも私は、貴方を好きになってしまった
貴方を知らずにはいられない、追いかけずにはいられない
お願い、どうか子どもだからと思わないで 私の話をきいてください
少しでも貴方の見ている世界と同じ景色を見させてください
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