新撰組 鬼姫伝

□壱 はじまり
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試衛館道場のすぐ近くの神社。
そこに1人の巫女がいた。
私は名を夢羽と言う。
幼い頃に両親に捨てられ、神社の神主とその家族と暮らしてきた。

でも私はその生活がとても嫌いだ。
すぐ近くから聞こえてくる竹刀の音や、道場の門下生たちの掛け声はこんなにも澄んでいて綺麗なのに、私が生きているこの世界は空気が澱んでいるような気がする。

神様のおられる神聖な場所なのに、ひどく鬱屈した汚い空気が流れている場所なのだ。
ああ彼らの生き生きとした空気に触れてみたい。
そうしたらもう少し美しく強い私になれそうだから。
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