小説

□ロマンチック始めました
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いつかのように二人で釣り堀に並んで座る。
「それで、話とは何だ?おそ松。次男のこの俺がお前の悩みを受け止めてやるぜ」
隣の弟がキメ顔で俺を見る。
本当に受け止めてくれるんだろうか。
俺が今から言うことを。
「お、俺、お前のこと好きみたいなんだけど…」
瞬間、カラ松が真顔になる。
やっぱり言わなければ良かった。
「フッ、俺も愛してるぜブラザー!確かめることでより兄弟愛が深まったな。さあ、抱き締め合おう」
カラ松が目を閉じて両手を広げる。
そうだった、こいつはそういう奴だ。
「お前はぶれないなあ」
苦笑いでハグを受け流し、釣竿に目を向ける。
「好き」の本当の意味を訂正する勇気はなかった。
「シャイボーイだな、おそ松は」
「はいはい、俺はどうせシャイですよ〜」
一向に魚は釣れない。
カラ松もつれない。
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