小説

□捕まった
1ページ/1ページ

カラ松だけは俺を兄さんと呼ばなかった。
なんでと聞いたら、「お前には兄がいないから俺がお前の兄でありたい」とか言ってた。
真顔で言うもんだからどんな顔すればいいか分かんなくてなんか照れた。
「そりゃどうも」
適当に返事をすると、カラ松は「ああ」と微笑んだ。
その瞬間だった。
あ、俺こいつのこと…。

それから何ヵ月か経って、いつの間にか俺はカラ松と付き合っていた。
今問題なのはヤる時にどちらが上になるか、だ。
「俺カリスマレジェンドの長男様じゃん?普通に考えて俺が上でしょ?なのにいっつも俺が下!たまには俺にも上やらせろよ!」
「いや、それは違うなおそ松。俺の方が格好いいから上だ」
「同じ顔じゃん!何俺の方が格好いいって!?」
「やだやだやだやだやーーーだーーー!!!俺が上じゃないとやだ!!!」
「くっ、可愛い弟を全面に押し出してきやがった…」
「という訳で俺が上だな」
「いやいや可愛いんならお前が下だろ?」
「ノンノン、俺なんかよりおそ松の方がよっぽど可愛いぜ…」
「えっ、やだ〜〜カラちゅんってば!照れるじゃ〜〜ん!てかカラちゅんの方が可愛いって〜〜!」
「ハニーが世界一可愛いに決まってるだろう…?」
「そんなことないけど…ありがとうカラちゅん」
「共に禁断の扉を開こうじゃないか…やがて二人はゴートゥーヘブン…」
「いたたたたた!!!肋折れた!!!もうこうなったら力がある方でいいんじゃね!?」
先手必勝、カラ松の上に股がる。
「あっ、ずるいぞおそ松」
今度は勢いよく起き上がったカラ松に押し倒される。
掴まれた手首を振りほどけない。
「さあ大人しくするんだな、子猫ちゃん」
「だから痛いっての!このゴリラ!」
「なっ、誰がゴリラだお粗末!」
「そっちの字でお粗末言うなゴリ松!」
「誰がゴリ松だ!」
「ウッホホ!ウホッ!」
「ゴリラ語を喋るな俺は人間だ!」
「…なんか萎えたな」
「…ああ」
「よーしやめるか」
起き上がろうとすると不意に唇を塞がれた。
「なんて言うと思ったか?まだ二人の夜は始まってもいないぜハニー。そんなの寂しいじゃないか」
「カラ松…だから痛いっての。ま、いいけどよ」
見つめ合ってどちらからともなく唇を重ねる。
「最近寒いからあっためてよ」
「体だけじゃなく心まで暖め合おうじゃないかハニー」
「ほんと痛いよねえお前」
「痛いと言ってる割には肋折れてないじゃないか。ときめいたんじゃないのかおそま〜〜〜〜つ?」
服の下から肋骨の辺りを触られる。
「ばっか、女の子じゃないんだから」
「寝る時は女の方なのに?」
「うるっせえなクソ松!…早くしろよ」
「おそ松は本当に可愛いな」
もう一度ばかと言おうとしたのに、キスされたせいで言えなかった。
むかつく。
「てかさあ、ここでするの?あいつら帰って来たらどうすんの」
「その時はプロレスしてたことにすればいい」
「裸じゃん」
「後先のことを考えるなんておそ松らしくないな。緊張してるのか?」
「んな訳ねーし!ただあいつらにギャーギャー言われんだろうなって」
「その時はその時だろう?それにいつ誰が帰って来るか分からないなんて興奮するじゃないか」
服の下に伸びる手が胸の突起をいじる。
漏れそうになる声を抑えた。
「…変態じゃん」
「お前に言われたくないな」
「俺には容赦ないよねえ」
「弟達には親切な兄でいてやりたいが、おそ松には遠慮がいらないからな」
首筋にキスが落とされる。
「万が一帰って来てもバレないようになるべく声を抑えるんだ」
耳元でそう囁かれる。
「あのなあ、だったら…乳首いじくり回すのやめてくれる?」
「おそ松が可愛いからそれは駄目だ」
「もう何なのお前やだ…」
「安心しろ、声が出るなら俺がキスで口を塞いでやる」
「…俺お前とキスするだけでやばいのに、気持ち良すぎて死んじゃうだろ…」
「死…!?それは大変だ!おそ松が俺を残して死ぬなんて…そんな悲しみ耐えられない、早くぶち犯さないと」
「なんでそうなるんだよクソま、んんんん」
見事にキスで口を塞がれて罵声が途切れた。
舌を絡めると頭の中がとろけそうになった。
「んう…ふ…っからまつ、早く…だっ、だからあ!乳首はもういいから!…あっ、舐めてんじゃねえよ今日に限ってなんで前戯ねちっこいんだよ!」
「可愛いからに決まってるだろう?愛してるぜえ、おそ松…」
耳を舐められると自分でも馬鹿みたいに体が跳ねた。
何度も何度もやっているから体が覚えて欲しがってしまう。
「本当に敏感だなあ、おそ松は」
耳元で囁かれるだけで腰がすくむ。
「誰のせいだと思ってんだよ」
ある意味泣きそうになりながら、されるがままの体は快楽の波に溺れていった。
とんでもない奴に捕まってしまったのかもしれない。
なんて今更気付いたって手遅れだ。




-end-
後日次男がパチンコで買ったため弟達に居酒屋で呑んで来いと奢ってやり、部屋に誰も来るはずがなかったことを知った長男は次男に殴り掛かったものの、返り討ちに遭ったそうです。

ありがとうございました!

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ