Fate

□<FGO>いろんな人に会う
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ギルガメッシュと

「よくもまあ……職務怠慢を起こしておきながら……のこのこと現界できたなあ……? 紗夜」
怒気しか放たない英雄王に目の前の召喚されたての紗夜は平常通りだ。
はらはらしてるのは物影にいる光の御子とネームレス・レッドのみ。他のカルデアにいるものは危険察知からさっさとどこかへと行った。
クー・フーリンはどちらとも短い間だが共に暮らしたという腐れ縁から。エミヤはあえて言うまい。
「? 呼ばれた記憶はないが……まあ、いっか。悪かったな」
あっさりとした謝罪にひやひやするのは男二人。ギルガメッシュは眉を動かさず紗夜の手を引く。
ぽやんとした顔の紗夜にニタリと笑う赤い目が面白そうに言う。
「謝罪の意思があるなら体で払ってもらおうか」
部屋に引っ込む二人をむろん追いかけるエミヤ。仕方なく追うクー・フーリン。
部屋の音がうっすら漏れる。
「右だ、あほたれ! 左右もわからんのか!」
「お前では右でもこっちからは左だ。むぅ、初めてでよくわからん」
「……っふ。そこだ、そこをしつこく」
「んん? ん……んぅ、ぐぅ」
エミヤの頭でシグナルが鳴り響く。
これはいかん。
「紗夜!!」
自動で開いた部屋。
甘い香りが鼻腔をくすぐる。
上半身裸のギルガメッシュが横たわり紗夜がマッサージをしている。力加減から踏みつけたり、肘でやったり、教本を携えながらやる紗夜の下にいるギルガメッシュは微睡みのなか、エミヤを睨む。
「不躾だな。贋作者と犬。我の躾を貴様らも仕込まれたいか」
「おお、アーチャーにランサー。久しいな」
リンパ腺を追うように力を加える紗夜。痛みがあるのか声が少し震えながら怒鳴る。
「お前は我の体を労ることに専念せんか! これまで我が雑種に貸した分だけしっかり働けよ」
「わかってるよ……こことかどうだ?」
「…………」
「ここは?」
「痛い」
紗夜は派生して足のツボ押しまでする。楽しくなっては来ているようだ。
「……胃が悪いな。すまんがアーチャー、用件があるなら後で頼む」
「……いや、君が無事なら」
「即刻に去ね。おい、次は肩だ」
ベッドに座るギルガメッシュに紗夜はとんとん、と肩を叩く。よくある肩たたきの図だ。
「そうでない。こう、肘を使え」
「切嗣はこれで喜んでたが……こうか」
「力が弱い。持ち前の怪力は何処に置いてきた」
「本気を出せばさすがに脱臼すると思うが」
気の抜けた声を背にエミヤとクー・フーリンは立ち去る。エミヤはとりあえず姉の就職先に安心したのと同時にこれからの接し方に胃を痛めた。
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