現パロ小十郎

□金曜日の恋人
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「小十郎様っ……あのっ……!」



何かを必死に訴えようとする弥彦の腕を引いたまま、部屋に戻る。

掴んだ手首は恐ろしく細い。

もし田中が少しでも『その気』になれば、こんなか細い身体なんてすぐに押さえ付ける事が出来るだろう。



「……ちっ……」



自分の思考に苛立ち、玄関から寝室へと直行した。
戸惑いを見せる弥彦を気遣う余裕なんて持ち合わせて居ない。



「あっ、あのっ……小十郎様……きゃっ!?」



一部屋を埋める、キングサイズのベッドに華奢な身体を半ば放るように押し倒すと、流石に弥彦の顔色が変わる。



「小十郎様っ……あ、あのっ……ごめんなさ……」

「何が」

「……連絡、出来なくて……きゃっ……!」



弁解を口にしようとするのも無視して、ジャケットすらまだ脱いでいない華奢な身体に覆い被さった。



「小十郎様っ……あのっ……んっ!?」



首筋に顔を埋めれば、弥彦の香りが俺を包む。
いつもならば、心から安心する香りの筈が、今は燃え上がる劣情に油を注ぐばかりだった。



「お前は田中とどこに居たんだ? 」

「ん……っ……あの……資料室で……」

「二人きりで?」

「は……は、い……ひぁっ!」



その返事を全て聞く前に、白く柔らかな首筋に歯を立てた。



「あっ……っ……待って下さいっ……」

「待たない」

「せめてっ……シャワーを……!」

「待たない」

「あっ……!」



柔らかな首筋を甘噛みし、舌を這わせながら下へと降りる。
鎖骨の下の柔らかな肌に辿り着くと、容赦なく其処を吸い上げた。



「っ……ひぁっ……!」

「お前は、自覚が足りな過ぎる」

「んっ……じ、かく……? ん、っ!」



何度も肌をきつく吸い上げ、紅い痕をいくつも刻む。
兎に角、弥彦が俺の物だと言う証を残そうと必死だった。



「……ぁっ……! こじゅ……ろ、さまっ……」

「俺から離れるなんて、許さないから」

「んっ……ぁっ……そんな事しなっ……」

「なら、身体で証明してみせて」

「ひぁっ……!」



カットソーをたくし上げ、下着をずらす。
手のひらで形の良い丘を包み込み、そのまま指先で先端の蕾をキュッと摘み上げた。



「……んぅ……っ!」



ビクッと弥彦の身体が跳ねる。
押し殺そうとした小さな喘ぎは、ささやかな甘さを孕んでいた。
こんな状況であっても俺の指先一つで快感の鍵を開けてしまう弥彦の感度の良さに、胸の奥がザワつく。



「……俺以外の男にこんな事されても感じるのか?」

「っ……やっ……ぁっ!」



指先で弾くように突端を嬲れば、イヤイヤをするように絹糸の髪が乱れ、艶やかな扇を描いた。



「こんな、のっ……こじゅ……ろ、様しか……あっ……!」



指先でなぶっていた蕾をちゅっと吸い上げれる。
何かを言いかけた唇から切なげな声が零れた。

舌先で転がし、つつき、吸い上げる。
その度に、楽器を爪弾くように甲高い声が響く。


俺のシャツを握り締め、耐えるように唇を噛む表情が俺の熱を更に煽った。
こんなにも俺を魅了する女性に、他の男が何も感じない筈がない。
資料室で弥彦と二人きりになった田中は何を思ったのだろうか。



「……くそ……っ……」



こみ上げる黒い感情が抑えきれず、押さえつけた弥彦の服を乱雑に乱していく。



「やっ……小十郎様っ……ぃゃ……!」



はだけた衣服の合間から白い肌が顔を出す。
零れ落ちた柔らかな胸は、たくし上げたカットソーと無理やり引き下ろした下着のカップに挟まれて、やけに扇情的だった。



「お前は、どうしてそう無自覚に男を誘うんだ」

「っ……そんなっ……」

「自分がどれ程男を誘うのか、少しは自覚しだらどうだ」



弥彦からすれば言い掛かりにも程が有るだろう。
押し倒したのも、中途半端に衣服を乱したのも俺だ。
しかし、こんな状況においても潤んだ瞳をこちらに向け、必死にしがみついてくる弥彦を見れば、痛い程焼け焦げる。



「お前の姿が見えなくて、俺が……どれだけ……!」



情けない声が漏れた。
掠れたように詰まる言葉。



((何をしてるんだ、俺は))



後輩に嫉妬して、八つ当たりをする自分に呆れるしかない。

ふいに、俺の下で今にも零れそうな程に涙を目いっぱいに貯めた弥彦と視線が絡む。




「小十郎様……」

((こんなに怯えさせて……))



急に思考が冷えていく。

その瞬間か細い腕が、震える程の力で俺を抱き締めた。



「っ……!」

「小十郎様……っ……ごめんなさいっ……」



覆い被さる俺の首に腕の力でぎゅっとしがみつく弥彦。
その声は今にも消えそうな程の涙声だった。

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