帽子と酒と。

□帽子と酒と。
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「ううん…これは酷い」
目の下の倒れている泥酔した人間…中原中也は私の元相棒であり、不本意ながら今日は居酒屋で立ち会ってしまったのだ。
「…」
汚物を見るような目で見下しながら、足で彼の頭を踏みつける。
「…痛てぇ!誰だ!」
足を下に引きずられそうになるが、とっさに反応し、さらに腰に一発喰らわせ、しゃがみこむ。
「やあこんにちは!子供がこんなところでなにしてるのかな!?」
ニコニコとしながら頭をさする。
「気安く触るな!糞太宰ぃ!」
酒のせいで、殴りかかってくる彼の拳も力がなかった。
「太宰くんか、御機嫌様。」
知り合いの広津さんだ。
「こんにちは!広津さん。あ、コレ棄てときますか?」
「好きにするがいい。」
広津さんも酔いが回っているらしく、適当な判断をする。
「じゃあ御言葉に甘えて。」
重い彼を抱え、道を歩く。一人になったところで、おもわず顔がにやついてしまう。
「さあ、起きたらどんなお仕置きをしてやろうか」
…そのあとに何が起きたかは云うまでもない。

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