笑わない兎を笑わせましょう。【HQ】
□断るに断れない。
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授業もHRも全てが終わり、呼ばれるままに夜久さんと黒尾さんのもとへ行くと、着いて来いとジェスチャーされた。
そのまま2人の2、3歩後ろについて行く。
楽しげに会話している2人は結構コンパスが長いようで、普通に歩いてると置いてかれそうになる。
『 ……。』
後ろに着いて、ふと気付いた事がある。それは...
『 黒尾さんって意外とモテるんだな…』
廊下で話し合ってた女子達は黒尾さんを目ざとく見つけると黄色い声を上げながら話しかけてきたし、教室にいた女子達はわざわざ廊下まで話に来た。
暇人か。
そんな女子達の視線は後ろにいる私にも来る。好奇、嫉妬、訝しみ。視線は結構痛い。穴あく。
……あいたたた。
………アホ臭い。
そんなおふざけを脳内でしながらゆっくり歩いている間にも、2人はずんずんと進んでいっている。
急いでとことこと追いかける。階段を降りたあたりで、体育館に行くのだろうかと今更ながら考えた。
。゜⋆黒尾side。゜⋆
入部への後押しのため、部活見学をさせようと思い、ついてきてもらっているが、
「何だこの可愛い生物……!」
夜久と話しながらチラリと後ろを盗み見ると、ちょこちょこちまちまと小動物のようについてきている。動くたびに跳ねる寝癖も可愛い。
ふへへ と思わず頬肉が緩んでしまう。
「変質者みたいだぞ黒尾。」
「るせ。可愛いは正義だ。」
「うわ」