笑わない兎を笑わせましょう。【HQ】

□断るに断れない。
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「いっちばーん!!ヒュー!」
「黒尾うるさい」
「ウィッス」

はしゃぐ黒尾さんをうるさいの一言で黙らせた…!夜久さん凄い。オカンみたいだと不躾にも思ってしまう。でもオカン。やっぱりオカン。

後ろ姿はショッピングモールではしゃぐ子供に手を焼くオカンそのもの。ぼんやりと眺めているとオカンもとい夜久さんが振り返って、着替えてくるからちょっと待っててね。と言い、黒尾さんの首根っこを掴み更衣室へ行った。

比較的早くHRが終わったため、体育館の中には誰も居ない。戻ってくるのを待つため、隅っこで正座しておこう。

『 ……。』

暇。
着替えて戻るまで、結構時間掛かるだろうし、かと言って待ってろと言われた手前、勝手に動き回るのもどうかと思う。

そろそろ戻ってくるだろう。そう思った矢先、ドアが開く。
「おっ!?ヤッタ、いっちばー……ん?」

夜久さんとは違い、かなり上背のある灰髪の男子が飛び込むように入ってきた。そして、エメラルドグリーンの目と視線がかち合った。がっつり合った。

目を逸らすタイミングを逃し、お互いを沈黙が包む。その沈黙を唐突に破ったのは彼で、

「かわ……」
『 ……川?』

オウム返しにしてしまい、失礼だったかと反省した瞬間
「っっ可愛い!!ナニコレ可愛い!!ちっちゃい!可愛い!!」
『 ふぁっ?!』

ばふん。と視界がいきなり暗転し、ぎゅうぎゅうと抱きしめられた。(多分)

痛い痛い痛い痛い 出るから!!モツ出るから!


脳内で夜久さんに助けを求める。

help。
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