外伝

□至福の時
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朔羅も大人しく捲簾の胸に頭を預け寄り掛かる様に体を預ける。
そして捲簾が先程見上げていた桜の花を見上げた。

捲簾も同じ様に朔羅と同じ様に見上げ更に引き寄せる様に朔羅を抱き締めている腕に力を込めた。






お互いに何も話さず沈黙が暫く続いたが全く苦痛を感じなかった。
寧ろ穏やかな時間に感じた。
その穏やかな時間に身を委ねていた朔羅だったが、お腹の前にあった捲簾の手がモゾモゾと動き出し、ゆっくりと確実に上に上がっていく。

胸に到達しそうになった時…。







「…!?いててて!!」
捲簾の手の甲を朔羅が抓り動きを止めた。



『…捲簾様…何をするおつもりで…?』
黒い笑みを浮かべ後ろを振り向き朔羅は捲簾を下から見上げた。







「あっ…ι…いや…ι」
朔羅の眩しい程の黒い笑みに
捲簾は冷や汗を流しながら片手を上に上げた。




『折角良い雰囲気が、台無しじゃないですか…。』
今度は拗ねた様に頬を膨らませた朔羅の顔を捲簾は愛おしそうに見下ろした。





「…本当、お前はコロコロ表情が変わるな!」
捲簾は褒めたつもりで行ったのだが、朔羅は誂われたと思い更に頬を膨らませ睨み付けた。






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