貴方と巡り逢う為に

□すぐ近くの温もり
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「いっただきま〜す!!」
目の前に並べられた食べ物の数々。
朔羅の正面に座った悟空は次々と平らげていく。
それを朔羅は唖然と見つめていた。






(…生で見ると……凄いι)
「…喰わねぇのか?」
ボソッ。と聞こえた声に自分の左を見ると三蔵がビールを口に当てたまま此方を見ていた。




『……あっ。…頂きます……あぁぁ!?』
三蔵に進められお目当ての物を取ろうと目を向けると……既に空に。



「どうしました?」
悟浄を挟んで朔羅の右側に座る八戒が朔羅の方を向いた。

『…春巻……食べたかったです…』
肩を落とした朔羅に悟浄は自分のお皿を朔羅の方へ寄越した。






『えっ??』
「やるよ!…俺は此れがあれば良いから。」
と酒瓶を軽く持ち上げ左右に揺すった。
『あ…ありがとうございます!』
悟浄からお皿を受け取り笑顔でお礼を言った。





「すみません。…悟空は食べる事になると……こうなんで…」
苦笑いを浮かべながら八戒は悟空を見るが悟空は食べる事に夢中で常軌が解らず首を傾げる。




「…意地汚ねぇ、バカ猿って事だ。」
「そうだ!朔羅ちゃんの分まで喰うんじゃねぇよ!」
三蔵、悟浄に責められ言い返すが悟浄と言い合いになる。
それを宥める八戒だったが、朔羅が突然立ち上がった為に皆黙り込んだ。







『…すみません。…ちょっと外の空気吸って来ます。』
そう言い残すと店の扉を開け外に出て行った。


「テメェ等がうるせぇからだな。」
ボソッ。と溢しながら三蔵はタバコを吸い込んだ。





「……。」
朔羅が出て行った扉を無言で見つめていた悟浄はガタッ。と椅子を鳴らし立ち上がった。

それを驚いた様に見上げる八戒に、肉まんを口に咥えて見上げる悟空、顔色を変えない三蔵。





「どうしたんですか?悟浄?」
「……煙草買って来る。」
静かに言い残すと悟浄は八戒達が呼ぶが振り返らずに店を出て行った。








「…悟浄ってば。…大丈夫ですかね、朔羅。」

「俺が知るか。」







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