拝啓_愛しい君へ。
□3人の出会い_三角関係の始まり
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この物語の主人公である梶野が及川、岩泉の2人と出会ったのは、今から8年くらい前のこと。
ーー3人が、小学3年生だった時のことである。
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「今日から新しいクラスだ…。新しい友達、できるかな?」
新しい友達と仲良くできるかという緊張で、梶野の鼓動は速くなるばかり。そんな梶野の事など御構い無しに、自己紹介の順番は進んでいく。
「梶野さん!」
梶野の心境など露知らず、担任の先生が明るい声で梶野の名を呼ぶ。
「は、はいっ!」
とうとう梶野の順番になってしまった。暗い気持ちのまま、柏野は教卓の前へとたった。
「か、梶野夏帆です。な、仲良くひてくれると、う、れしいでしゅっ!!
緊張のせいで、歩き方は変になってしまうわ、言葉は噛み噛みだわ、声は裏返ってしまうわ、散々だった。
(絶対、変な子だと思われたよね…。友達、できなかったらどうしよう)
他の人と交流する時間も、1人、自分の席に着いたままで俯いていた梶野。
そんな梶野に、1人の男子が近づいていった。
「ねえねえ、俺と友達にならない?俺は、及川徹!君は、梶野夏帆さんだよね?」
聞いてもいないのに名前を名乗る及川に、梶野は少し怪訝そうな顔をしたが、すぐに嬉しそうな顔になった。
「友達になってくれるの?」
ぱぁぁと効果音がつきそうなくらい嬉しそうな顔をしながら、及川に尋ねる梶野。
「もちろんだよっ!俺の後ろにいる岩ちゃんもね!!」
「…岩泉一だ。よろしくな!」
いつからいたのか、及川の後ろからツンツンとした頭の男子が出てきた。
「及川くん、岩泉くん、よろしくね!」
新しい友達が2人も出来た梶野は、家に帰ってから母親に新しく出来た友達2人の事を、とても楽しそうに話した。そして、明日からの学校生活に胸を膨らませながら就寝したのであった。