成り代わり的MY LIFE
□心美しき大空の君
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「おかーさん、おかーさん」
「うん?なぁにゆのちゃん」
「公園に遊びに行ってくるね!」
「あら行ってらっしゃい。気をつけるのよ?」
「うん」
いつも外出する際に持つうさぎリュックを背負って玄関へ行く。
そこに並んでいる中で一際小さな藍色の靴を履いてドアを開ける。
「じゃあ行ってくるね」
「ええ。遅くならないうちに帰ってくるのよ」
「はーい」
にこにこと笑うお母さんに見送られ、私は玄関から出て行った
「おにいさん、何してるの?」
公園につくと、綺麗な黒髪のまるっこい頭のふたつ程上に見える男の子が木の上に座っていた。
「あ、子猫が……」
「猫?……!」
どうやら子猫を助けようと登ったところ、子猫まで届かなくて困っているらしい。
「おにいさん危ないよ。とりあえず一回降りて」
「でも……」
「もー……子猫さん、子猫さん、怖くないよ、こっちへおいで」
すっと子猫がいる枝先に向けて腕を精一杯伸ばす。
優しく語りかければ、子猫は恐々とだが身体を傾け、ぱっと腕の中に飛び込んできた。
「いい子だね…ほらおにいさん、子猫はだいじょーぶだから、ね?」
「う、うん!」
するすると木から降りてきた男の子。顔立ちはとっても可愛くて、きっと大きくなればイケメンになるだろう子だった。
「おにいさん、優しいんだね。子猫を助けようと木に登っちゃうなんて」
「えっと、小動物が好きで…」
照れたように笑うのが可愛くて、ついサラサラの髪を撫でた。
すると、もっとと言うように擦り寄ってきた。
「ねぇおにいさん、お名前を教えてよ」
「え、ぼく?ぼくは雲雀恭弥だよ!」
自分の名前はやたらとすらすらと言う。
雲雀さん…そっか、あの立派な日本家屋に住む雲雀さんの息子さんか。
「恭弥くん、っていうんだ。よろしくね。私は沢田ゆのだよ」
「うん、よろしくね!ゆのちゃんっ」
やっぱり本当の子供は素直で無邪気で可愛いなぁ。
「じゃあ恭弥くん、一緒に遊ぼっか」
「ほんと!?やった!」
心から喜んでくれる恭弥くんは本当にすっごく可愛い。
自分の精神年齢が色々おかしいからかな、本当に息子みたいな感覚なんだよね。
まぁ今は3歳の沢田ゆのなんだし、いつかその感覚も変わってくると思うけど、ね。