番外編・リクエスト

□そばにいたい
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「おはようあゆみ」

「あれ?恭弥くん?おはよう…迎えに来てくれたの?」

「そうだよ」

「わぁ嬉しい!ありがとね、じゃあ行こっか」


いつの間にか随分と遠くなってしまった顔を見上げ、いつもと同じように笑う。

そうすれば、恭弥くんも昔とかわらずふわりと笑ってくれた。


「恭弥くんったらすっかりイケメンさんになっちゃって…小さい頃はとっても可愛かったけど、今はとってもかっこいいねぇ…」

「ふふ、あゆみがそう言ってくれるのは嬉しいね」

「そう?それにしても、2人で並んで歩くのはなんだか久しぶりだね」


恭弥くんは風紀委員長だから、毎日書類に不良退治に忙しい。

それに私は家庭教師が来てなんだかいろんな人に出会って、毎日騒がしくって、中々2人でいられなくなった。


「そうだね…あの赤ん坊のせいであゆみに中々近づけなくなったからね…」

「リボーンくん?そんなことしてたの…?知らなかったなぁ…」


忌々しげに空を睨む恭弥くんの言葉にちょっと驚いた。

まさか家庭教師のリボーンくんが関与してたなんて…帰ったら聞かなくっちゃ。


「ねぇ恭弥くん」

「なんだい?」

「少し確認したいことがあるんだけど、良いかな?」

「?勿論」


不思議そうに首をかしげる仕草は小さい頃のままで、変わんないなぁとか思ったり。

そんな恭弥くんに、私は突然抱きついた。人通り少なくて良かった。


「!?っあゆみ!?」


ぎゅっと抱きつけば、早鐘を打つ心臓に気づいた。


「うん、やっぱり…」

「ちょっとあゆみ?なにがやっぱりなの?」

「私………恭弥くんが好きみたい」

「…………っ!?!?」


ぼぼぼっ!と恭弥くんが分かりやすく赤くなった。


「恭弥くん、どうしたの?」

「っ君はほんとに…!」

「恭弥くん?」


所在なさげに中途半端にあげられていた両腕が、背中に回され優しく抱きしめられた。


「突然そんなこと言うなんて…ほんとに心臓に悪いんだから………僕だって君が好きだよ、あゆみ」

「…………ほんと?」

「僕が嘘をつくとでも?」

「……んーん、全然思わないよ」


嬉しくって、嬉しくって、精神年齢は目の前の彼とは伴わないのに、やっぱり嬉しくって。

甘えるように頬を胸に寄せる。
そうすれば愛おしくて仕方ない彼の心音が耳に響いた。

少し、早かった。

それもまた、嬉しかった。
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