Repatriate

□8年ぶりの誕生日
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「ゆーくーん!」

バンッ

「いった!?」

呼び声と共に迅の後頭部に勢い良く何かがぶつかった。

「ちょっ…!ミナちゃん!?」

「ハッピバー!」

振り返ると同時にドッと湊が飛びつく。

「うおっ!?」

なんとか踏みとどまり湊を受け止める迅に湊は尚も笑う。

「あれ?ゆーくん見えてなかったの?」

「…パターンがありすぎて読み逃してたよ…」

はぁ…とため息をつく。

「ならラッキー!じゃ、支部行こうよ
ケーキ焼いたから」

「えっ…まさかさっきの…」

「いや流石に投げてないわよ!?そこまで馬鹿じゃないわよ!!」

「えー…だって湊ちゃんやりそうなんだもん…」

「うっわ失礼!
せーっかく8年ぶりにお祝いしてあげようと思ってたのに!もう知らん帰る!」

「わーごめんごめん!」

本気で帰ろうとする湊に迅は慌てて

「ありがとうって!
一緒に玉狛帰ろ?」

「…」

ジロリとジト目で迅を睨みつける湊に迅は苦笑した。

「ごめんって!な?」

「…仕方ないなぁ…」

不機嫌ながら踵を返し玉狛の方へ向かう。
それを見え楽しそうに笑い迅は湊を追いかけた。

手には先程彼女が投げた袋を持って。

──────玉狛

「あー!やっと帰ってきた!迅!あんたおっそいのよ!」

「ごめんごめん」

「ったく!」

帰ってきた二人を見た小南が迅に噛み付き、靴を脱いだ迅の背を押しリビングへ向かう。

「ちょっ小南!押さないで!」

「うーるーさーい!!」

扉の前に辿り着くと湊が扉を開く。

パンパンッパンッ

「迅さん!誕生日おめでとうございます!」

「!!!」

扉が開くと破裂音が鳴った。

「修たちがやりたいと言ってな」

そう言ってキッチンから出てきた木崎が迅へ教えた。

「しょうがなくよ!?私は別にやりたいなんて思ってないんだからね!」

「えっ、一番計画考えてたの小南先輩ですよね」

「ちょっ!と、とりまる!」

「小南は相変わらずツンデレだね」

「でもさっき修が一生懸命な小南先輩超可愛いって言ってましたよ」

「ええ!?」

「え!?ちょっとやめなさいよね!?そんなお世辞!いや、お世辞じゃないだろうけど…!」

小南が烏丸の言った事を間に受け、修を軽く叩く。

「すいません。嘘です」

「え?」

「嘘です。修はそんなこと言ってません」

しばしの沈黙。


*
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