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玄界で見る桜も、二度目となる。
季節が巡るのは早く時が経つのも早い。

季節が一巡したというのに、私はまだ、玄界を手中に収められるほどの情報は得られていない。

こちらの軍は゛ボーダー゛というらしい。

平和ボケしていてイライラする。
桜の木の下に立ち幹に触れる。

私の世界にはないピンクの花が咲き乱れる。

警戒区域前であれば一般市民に出会うこともない。
ボーダーのセンサーに反応しない程度の小さな門を開き、その中に報告を纏めたデータを投げ入れる。

「…疲れた」

入れ終わり木の根元に座り込む。
その時、

「おじょーさん」

と声をかけられる。

「!」

木を挟んだ向こうにはヘンなゴーグルのようなものを首から下げ、菓子の袋を持っている男が立っていた。
男の着衣には『BORDER』と書いてある。
まずい、勘づかれたか?

「こんなとこにいたら危ないよ。警戒区域前だし」

と菓子を食べた。
勘づかれたわけではなく、ただ市民が警戒区域にいたからと注意しただけなようだ。

「…すみません。桜が綺麗だったから」

と愛想笑いを浮かべる。

「あー、ここの桜綺麗だよね」

と笑みを浮かべる。
あまり深く関わるのは得策ではない。
感づかれれば私の命も保証はできない。

「…そうですね。では、私はこれで…」

と桜を離れようと立ち上がると

ドンッ

と木に男が手を叩きつけ、閉じ込められる。

─────────────

「! (やはり勘づかれたか!?)」

と咄嗟に腰に手を当てる。

「花びら、髪についてたよ」

と男が笑った。手には言う通り桜の花びらがあった。
レインは目を見開き、腰から手を退ける。

「あ、りがとう、ございます…」

と戸惑った。

「まぁ、気をつけて帰ってね」

と言うと男─────迅 悠一は手を軽く振りながら警戒区域へ入っていった。

「…へんなの…」

と触られた箇所に手を当て、道を進み警戒区域を離れていった。


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