司令の戦闘人形
□人形の実力
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朝食を食べ終えたフェルミリアは遊真に言われるがまま玉狛に完備された訓練室へ赴いた。
「…何本するの?」
「何本でも俺はいいよ。フェル先輩が決めてよ」
「…じゃあ早く終わらせたいから、5本」
「りょうかーい!場所は?どうする?凝った場所にも設定できるけどォ?」
「…くが、くん?だっけ希望ある?」
「いいや?いつも小南先輩とは何もないとこでやってる」
「じゃあそのままでいい」
「うんうん!じゃあ二人ともブースに入ってー!」
宇佐美が促すと二人とも入っていった。
上には小南をはじめ、烏丸、木崎、修、千佳、それに珍しく迅までいる。
「修。しっかり見ておけ。A級の遠征部隊に入るならフェルと対等に戦えるレベルにまで上がる必要がある。その基準値とも言えるな」
「…フェルミリア先輩も遠征部隊なんですか?」
「いや、フェルは遠征には行かない。おそらくだが、本人自身も二度と行きたくないだろうし、城戸さんも最後の砦を簡単に自分の手の届くところから外すはずもない」
修の質問に答えたのは、迅であった。
その顔はいつもの飄々と全てを躱す様な表情と違い真剣に訓練室を見下ろしていた。
その迅の顔にこれ以上聞き出せないだろうと察した修は口を閉ざし、烏丸へ別の質問を飛ばす。
「フェルミリア先輩の実力はどんなものなんですか?」
「そうだな、ボーダー隊員最強、とでも言っておくか。マグレで10本中4本取れても決して5本目は譲らない。そんな印象だな。迅さんなら、勝ってたこともあったんじゃないですか?」
「んー?そうだなートータルではかなーり負けてるけどなー…太刀川さんとトントンくらいで負けてっかな〜?」
「!(迅さんでも勝ち越すことはあってもトータルでは負け越してる…前に聞いた迅さんのライバルだったっていう太刀川さんもフェルミリア先輩に勝つことの方が稀ってことか…一体、どんな戦いなんだ…!?)」
修は手を握り締め準備が整った訓練室を見据えた。
「模擬戦開始」
無機質な合成音が試合の始まりを告げる。
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