司令の戦闘人形

□人形と新人くん
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────朝

いつものような小鳥の鳴き声に意識が覚醒する。
昨晩の戦いのあと本部の自室のベッドに一人で入ったはずだ。
なのに、妙に暖かい。そして、身動きが取れない。

重い瞼をこじ開けると白いシャツが見えた。
不思議に思い視線を上に向けると茶色の髪が視界の隅に映る。

「……………じん………」

自分を抱き込んでいるのは、先日道で別れたはずの迅 悠一であった。

気配に敏感そうな迅だったがどうやら熟睡しているのか一向に目を覚ます気配がない。
首を動かして室内の時計へ目をやると、5:45。
いつもの起床時間の少し前。
迅がいるのならばここは玉狛。

さっき時計を見た時にぼんち揚の箱が見えたから迅の部屋だろう。

普段ならば、起きなければと起床するのだが、玉狛なら少し寝坊しても平気だろう。
どうせ迅も動かない事だし、もう少しゆっくりしよう。と、フェルミリアは目を閉じ迫る睡魔に身を委ねた。

完全に眠った彼女を確認した迅が目を開いた。
どうやら狸寝入りをしていたようだ。
内心、フェルミリアのサイドエフェクトでバレたらどうしようかと冷や冷やしていたが、寝惚けていたせいか気付かず眠ったようだった。

「…ごめんな」

そう小さく呟いた迅は腕の中のフェルミリアを掻き抱く様に更に力を込めて引き寄せると、彼も再度眠りに落ちた。


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