短編

□母は強し
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ボーダー本部の外の裏口。
ひっそりと小さな入口が隊員たちも知らない所に佇むそれはとある人物たちしか開けられないのだった。

「こっちは風刃をだす」

会議室ではS級隊員・迅 悠一が、自らの師匠・最上 宗一自身であり、その形見である黒トリガー、『風刃』をボーダートップに君臨する城戸 正宗司令へ差し出していた。

迅が城戸へ持ちかけた交渉はあまりにも城戸に有利で、その上迅自信に得があるとは思えない内容であった。
自分たちが戦力的有利にも関わらず、だ。

当の迅は未来を見る能力をその目に宿し、全てを見透かすように城戸を真っ直ぐ見据える。
しかし、不意に何かに反応したかのように会議室の扉へ振り返った。

「…悪いけどさ、城戸さん、さっさと決断しようよ。俺も早く帰りたいしさ?」

と明らかにおかしいが、城戸を急かした。

「…?なんだ迅。まだお前に聞きたいことはあるぞ」

「うーん…そうなんだけどさー…さっさと終わらせた方が城戸さん的にも楽かなーって思うことが長引くと起こるんだよね〜…」

引き攣った笑みを浮かべ目を逸らす彼に益々城戸は疑いの目を送る。
疑問の視線は横に立つ忍田からも送られている。

「えーっと……」

その時

バンッ

「…あーあー…だーから言ったのにさぁ…」

と振り返りながら苦笑いを浮かべた。

「光さん」

「ハーイイイトコに座ってるわね城戸くん?」

大きな音を立てて開かれた扉の前には短髪の女性が立っていた。
口元には迅と同じようなものを感じる食えない笑みが見える。

その姿を見た城戸が目を見開き、次いで忍田までもが驚愕に表情を染めた。

「…柊………光……か……!?」

「光さん…!?」



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