短編
□守るため
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「二宮さん二宮さん!」
背後から二宮へ声がかけられる。
「…なんだ」
声をかけたのは二宮隊・狙撃手、柊 光。
「指導してください!」
「…お前は狙撃手だろう。今更射手をする意味がわからん」
「…私だってみんなと前線で戦いたいですもん…!銃剣術マスターしても前に出してくれないじゃないですか!しかも私を狙撃手にしたの二宮さんのほうです!」
そんな彼女に二宮がため息をつく。
「俺の隊には狙撃手が必要だったからな」
二人は廊下を進む。
「私は攻撃手とかの方が性にあってるんですけど…」
「だから狙撃手にしたんだ。なんでテメェは毎回死ににいく戦いをするんだ危なっかしい。お前だけは最後まで守ってやるよ」
と言った二宮に光がぽかんとした。
二宮は鋭い目を彼女に向ける。
「光。お前は俺の隊の最後の砦だ。俺達が万一緊急脱出したり動けなくなった時、お前なら前線に出られる。完璧万能手だからな」
「…なら初めから前線で二宮さんたちを守るってのはダメなんですか」
不貞腐れた光は顔を俯かせる。
「援護をしながらも最後には戦える狙撃手が必要だったんだよ」
と顎に手をかけ上を向かせた。
真っ直ぐな二宮の視線に光がたじろぐ。
「あ、う…!わ、私…ご、合同訓練行ってきます!」
と手を振り払い走り逃げた。
「…チッ」
と走る背中を見て舌打ちをした。
「いや〜誤魔化せて良かったね二宮さん」
と迅がニヤニヤしながら角から出てくる。
「なんの話だ」
「まったまた〜あのまま守るためとか言ったままじゃ光怒っちゃうしね」
「そんなことテメェのサイドエフェクトがなくても分かんだよ」
「まぁでも正解だよ。あのまま攻撃手にしてたら次の大規模侵攻で死んでた。無茶してね」
二宮が迅を睨みつけた。
「…どういうことだ」
「さぁね。でもこれで死ぬ確率は格段に下がった。二宮さんが守るだろうしね」
といつもの食えない笑みを浮かべ、去っていく。
二宮は再度イラついたように舌打ちをした。
守るため
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