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またレインは報告書を送るため、あの桜の木の下へ来ていた。
門を小さく開き送る。
そして前回同様に彼女は根元に腰を下ろす。
どこかでまた、あの男が来るのを待つように目を閉じる。
「おじょーさん。まぁた来たの?」
とまた声が聞こえた。
「…ここの桜、好きなんです。人もいないから」
嘘を吐いた。
「へぇ。まぁ一人でゆっくりしたい時もあるよね〜」
と迅が隣に座った。
「!」
「俺は迅 悠一。多分わかってると思うけどボーダーだよ。
ボーダーの実力派エリートとは俺の事!」
とウインクをし、レインを見た。
「…私は…レイン…」
「レインか。あんまりこの街で見たことないけど引っ越してきたの?」
「え?」
とレインはすこし驚愕する。
「…はい。ちょうど一年前、海外から引っ越してきた時、ここの桜を見つけて」
迅は微笑み正面を向く。
「そっか。じゃあ今度から見に来る時は俺に連絡してよ」
と、唐突に言う。
それに、レインは唖然とした。
「…は?」
「ほらここ、警戒区域前だろ?危ないしな。でも桜は俺たちボーダーが見ることを禁止するわけにもいかない。この桜の木は、みんなのものだ」
と迅が浮かべたのは、最初にあった時の食えない笑ではなく、優しげな微笑みであった。
「…そ…うね…ありがとうございます…」
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