司令の戦闘人形
□人形は構われる
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「疲れた・・・」
廊下を歩くのはフェルミリア。
ゆっくりととぼとぼと歩き本部に備えられてある自室へ行き、休もうと歩を進める。
自宅は城戸宅となるので城戸と共にでないと帰れないため、基本的な住居が本部なのだ。
その時
ヒョイッ
「!?」
フェルミリアの体が宙に浮く。
「フェル〜〜〜〜!」
廊下に響く聞き覚えのある声にフェルミリアが嫌悪感を隠さず首を後ろへ向け男を睨みつける。
「・・・太刀川さん。離して。」
「なんだよツレねぇな!昔みたいに慶くんって呼べよ〜〜〜」
「やだ。離して。鬱陶しい」
離すように腰に回された手をバンバンと力の限り叩きつける。
「うわ太刀川さん何してんスカ・・・」
と出水が呆れながら前を見てこちらへ寄る。
「公平。助けて」
と出水の方へ手を伸ばす。
「おま、出水は呼び捨て?呼び捨てなのか?俺は苗字なのに?」
「鬱陶しい。キモい。うざい」
「ひでぇなぁ〜〜昔はけーくんけーくんって俺の後ろを「追いかけてない。どこにそんな記憶があるの。捏造しないで」
「・・・太刀川さんいい加減フェル離してやったらどうスカ・・・てか、犯罪臭しかしないっすよ」
「どういう意味だ!」
「おっさんが女の子に痴漢してるようにしか見えないんすけど」
「おまっ・・・!上司におっさんて!」
「一般論っすよ 」
「・・・私寝たいの・・・どうでもいいから離して・・・」
不機嫌そうに目を細め太刀川をなおも睨む。
「そんなこと言うなよ〜〜〜!ほら!慶くんって!昔みたいに!な!?」
「慶」
「おっやっと呼ん・・・待て、お前の声はもっと可愛かったはずだ」
太刀川が顔を上げると目の前には自身の師匠が恐ろしい形相で立っていた。
「本部長ナイスッ!俺じゃあ止められないんで」
「・・・忍田さん・・・助けて」
と出水が安堵の溜息をつき、フェルミリアは忍田に手を伸ばす。
「何をしている」
「いや、ほら、ね?コミュニケーションってか・・・あー・・・ほら!あのー・・・スキンシップ・・・?」
と動揺する太刀川が手を緩めた隙に飛び出し忍田の後ろに隠れる。
「うわ何それ可愛いフェル可愛いこっち見ろ」
太刀川が隠れたフェルミリアを見て真顔で言う。
「キモい」
と忍田の後ろに完全に隠れる。
「確かに今のは可愛かったけど太刀川さんほんとセクハラっスよ。そろそろ司令から殺されないか心配」
「慶。お前はいい加減にしろ。」
ゴッ
忍田は呆れながら太刀川へゲンコツを落とした。
「痛ってぇ!」
「忍田さんありがとう」
「慶が悪かったな。ほら、さっき任務が終わったところだろう。ご苦労だったな」
とフェルミリアの、頭を忍田が撫でると気持ちよさそうフェルミリアは目を細める。
「あっ!俺も撫でた「慶」すんません・・・」
「太刀川さんうざいキモい近づかないで」
とだけ捨て台詞を吐き走って自室へ入っていった。
「ちょっ!?ひどい!!」
「・・・お前何をしたんだ?」
「えー・・・なんもしてないと思うけどなー・・・」
と太刀川が考えてると後ろから声が聞こえる。
「そりゃフェルと会う度にあんだけ構ったり嫌がってるのを抱き上げたりスリスリしたりしてたらフェルでも嫌がるわ」
「迅!」
「迅さんそれマジっすか?うわー・・・太刀川さんドン引きっスわ・・・フェルが嫌ってんの太刀川さんぐらいっスよ・・・」
「なに!?嘘だろ!?」
「本当だ。全くお前は・・・距離感を考えずに・・・あの子は繊細なんだ。構うためといっても距離感を考えずに攻めるな。バカ者」
「ほんとにねーあんなに可愛いのに太刀川さん損してるねー」
太刀川がとうとう崩れ落ちた。
人形は構われる
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