男の子と女の子の話

□席替え
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今日、席替えをした。
先生の目の前の席から、窓際の後ろから2番目という好立地へ移動。

(これで授業中視線を気にせず教科書に落書きしたり、ノートに落書きしたりできる!)

意気揚々と自分の机をもって移動させると、隣はいつも一緒にお昼ご飯を食べる華子だった。
お昼にいちいち移動する手間も省けて最高だと、机をおろして、かばんや机の中身の整理をする。

すると、がちゃん!と大きな音を立てて目の前に別の机が置かれた。

びっくりして恐る恐る目線を上げると……

「ああ、ごめん。うるさかった?」

木下君が、優しい表情で見下ろしてくる。
思わずうつむいて、前髪で目元を隠す。

「だ、大丈夫…。」

声、上ずってないかな…?
隣の席の華子のにやにやした視線を感じる気がするが、それどころではない。

「また青桐さんと席近いね。よろしく」
「う、うん!よろしく……」

嬉しい…。
嬉しいうれしい嬉しい!

もう椅子に座っている木下君の後姿をみていると口もとが緩む。ゆるゆるしてる。

さらさらした髪が、窓から流れてくる風にゆっくり動くのを見てると、どうしてもどきどきしてしまう。

と、じっと見つめているとぱっと木下君が振り返り目が合う。
見つめすぎたかと不安になると紙を渡される。

「はいこれ、プリント」
「……、あっ! うん」

慌てて前から回ってきたプリントを受け取る。
この調子じゃ毎日心臓がもたない……。


嬉しいような、ドキドキしてたまらない。
次の席替えまで、ずっとこのまま……


とんとん、と肩をたたかれて右を向くと華子が口元を手でおさえ、隠しきれないにやけ顔を向けてきた。
そしてぐっと親指を立ててくる。

木下君に気が付かれないように、Vサインで返した。




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席替えは学生時代の楽しみだったー!
まあ、嫌いな奴が近くだった時の悲しみはやばいね。


読んでくださってありがとうございました。

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