薄桜鬼(現代・オリキャラ)

□壬生警察署 生活安全課3
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「んじゃ、ファイも揃ったし始めるぞ。」
カイの一声でそれまでの気楽な空気が一変する。
タブレットには、とある銀行の頭取とその弟がゴルフに興じる光景が映る。
「御陵銀行の頭取である伊東甲子太郎と、その弟の三木三郎だ。」
「太郎に三郎……」
カッパの突っ込みに心の中で同意しつつ、話の続きを待った。
するとカイは一通のメールを表示する。
「W10月31日、Sにてハロウィンパーティー開催!ドレスコード【仮装】Wねぇ。」
「カッパの話だと、青龍会が来るのよね?」
「あぁ、そうだ。ファイは今日シフトに入ってるだろ。」
「カイもでしょ?」
一課も目をつけているWclub SWは組織も追っているターゲットのひとつだ。
カイは黒子として、ミューとカッパは客として、私はダンサー兼フロアスタッフとしてそれぞれが入り込んだ。
『青龍会がクラブで裏カジノを経営している。』
WパパWからの指示でその裏取りを命じられて約1年が経つ。
けれど裏カジノの存在は巧妙に隠されていると同時に、古参のクラブスタッフでも知っている者が殆どいない。
表とは別の裏スタッフがいること、表のスタッフから密かに引き抜かれているところまでは把握できた。
ようやく裏スタッフのスカウトマンの目星もついたところなのだ。
ミューとカッパは客としての潜入を狙っている。
「最近、この三郎の方がSに客として出入りしているわ。」
「仕事はメデイアクリエーターとか言ってるがはっきり言ってまともな作品はねぇ。目立つような遊び方はしてねぇけど、住んでるマンション、車、服…とにかく諸々が超高級ときた。まぁ間違いなく金の出所は兄貴だな。」
「御陵銀行自体が政治家との癒着が強いってウワサだからね。」
「そんな面白いのが出入りしてて、青龍会が放っておくとも思えないな。」
「ファイの言う通りだ。恐らく近いうちにコイツは裏カジノのメンバーになる…このチャンスは逃したくない。」
「今夜がひと勝負ってことか……」
私の呟きは沈黙に吸い込まれていった。
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