薄桜鬼(現代・オリキャラ)

□壬生警察署 生活安全課9
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バァンッ!バァンッ!バァンッ!

心臓、眉間、腹部大動脈……
人型モデルにそれらの位置をイメージして、狙いを定めてライフルを構える。

「お、相変わらず的中率高いなぁお前。」

不似合いな呑気な声。

「邪魔しないで、カッパ。」

遠距離射撃は距離が離れる分だけ集中力を要する。
1発で確実に目的を達成しなければ、目標物に動かれてしまい、次の狙いが定めにくくなるからだ。

「今夜のはコロシじゃねぇだろ?」

「目的は関係ないよ。狙い通りにできるかどうかってだけ。」

「なるほどね。俺には向かないわ。」

「あんたは雑だし、肉弾戦向きだもんね。」

「まぁ、身体をじっとさせるより、動かしていたいしな。」

そんな風に話しながら、一発、また一発と狙う。

今夜の目的はあくまで脅しであり警告だ。
某ホテルでの裏金パーティーに、華を添える程度。
ターゲットが壇上で挨拶を始めると同時に、マイクの先端を撃ち抜けばいいだけだ。

「ちょうどいいや、カッパ…それ持って立ってよ。」

私の横にあるのは、一本のマイク。
400m先には、ホテルの窓に見立てたガラス、テーブル、客に見立てた人型にマイクスタンド…そう、今夜のホテルをイメージしたセットがある。

「はっ?ふざけんなよ。
っつーか、あそこまで行くのも面倒臭ぇだろ。」

「バイクがあるでしょ?」

ここは私達のための射撃場。
地下に作られた秘密裏の訓練場のひとつだ。
今夜の任務に備えて、大学の講義を終えた私はこの訓練場で最後の調整を行っていた。

カッパは渋々とバイクに跨って、走っていった。

「俺のイケてる顔に傷作るんじゃねぇぞ」

と言い残して。
狙いはマイクだけだから、ターゲットは横を向いた状態、斜め上から狙っていく。
照明は奴だけを照らす。
狙うのはマイクの先端…チャンスは一回……そう…集中して………





















バァンッーー!!!

一瞬何が起こったのかわからなかった客達。
だが、ほんの数秒前まで耳障りな演説を拡張していたマイクが消えているのを確認すると、一斉に悲鳴が上がった。

当の政治家は、唖然として動くこともできない。

「うわぁ…見事だねぇ。」

「呑気なことを言っているな、総司。」

「そんなこと言ってさ、あんなオヤジより、一君もそっちの方が気になるでしょ?」

何だかんだ言いながら、3秒とかからずに対象を保護したあたりはさすがだ。
そしてその目は確実に狙撃点を追っている。

だがそれは俺も同じことでー

「向かいます。」

ヘッドセットを通して、彼らには伝わっている。
「任せたぞ、山崎。」
斎藤さんの返事を聞く頃には、部屋を出ていた。

今日の俺たちの仕事は、とある政治家の献金パーティーへの潜入捜査。
裏金工作の証拠を得るため…のはずだった。

まさかこんな事になるとはな…

万が一に備えて用意したバイクを走らせながら状況を分析していく。
撃たれたのは一発、撃ち抜かれたのはマイク、見通しの良さ、弾道…

「Gw Pat. 90 5.6mm」

沖田さんの声が聞こえた。

「SIG SG550ですか…」

「射程距離は300から400くらい…さすがにもういないでしょ。」

「別に確保が目的ではありません。少しでも消される前に証拠が欲しい。」

そう、俺が必死で現場に向かうのはあくまで手垢のない状態が欲しいからだ。

そうでなければ、恐らく…
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