薄桜鬼(現代・オリキャラ)

□壬生警察署 生活安全課5
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どうしてこうなるのだろう?
どうして彼らがここにいるのだろう?
いや、違う………
私達のターゲットと、彼らのターゲットは同じなのだ……つまり、

「俺はサブロー、んでこっちは……」
「さっきサブロー君のお友達になったソウジでっす。」
「ハジメだ。」
「同じくススムだ。」
「ぁ…どうも皆さま、ご指名ありがとうございます。アイです。」
呆気にとられそうになるが、グッとこらえていつもの笑顔と挨拶をする。

沖田さん…そのノリの軽さ、さすがです……

「アイは俺の隣に来い。」
三木が顎でしゃくり、空きスペースを示す。
今度はウッと躊躇いたくなるけど、そこもこらえて笑顔をふりまく。
「お隣失礼します。」
「あぁ。」

今夜はとことん邪魔が入るのね…

三木と山崎さんに挟まれるという非常にツイてない事態に陥った。

彼らの目的も三木だということは、裏カジノへの潜入も目論んでるはずだわ……

思わぬオマケがついてきそうだ。
こちらの仕事は確実にやりにくくなる。

そもそも、私達の案件になぜ一課が絡むの?

あり得ないはずの事態ー

まさか、一課が独断で捜査してるってこと?!

厳然たる縦社会である警察という組織の中であり得ない事ー
だがうちの一課ならばあり得る。
警視庁に目をつけられていながらも黙認されているのは、確実に成果を挙げるからだ。

でも、うちの案件に手を出すのは…

取り留めのない話の相槌を打ちながら、頭の中で必死に考える。
何としてでも彼らを排除したい。

せめてミューやカッパ達がうまくやってくれれば…万が一彼らも客になっても阻止し易くなるはず…

「アイちゃん、さっきのショーは凄かったねぇ〜」

呑気な声が思考を中断させる。
ニコニコと愛想を見せながら、沖田さんが会話を振ってくる。

この笑顔が曲者なのよ…

目が笑ってない、とはこの人のためにある言葉とさえ思う。

「気に入っていただけました?」

当たり障りのない返事をする。

「気に入るなんてものじゃないよ〜。だって思わず見惚れちゃったもんね〜




ねぇ、ススム君?」

ニヤリ、と笑みを深める沖田さん。

あなた…怖いです…

なぜかいきなり山崎さんに同意を求める沖田さん。
笑顔だが、腹黒さは100倍増しだ。
そんな沖田さんのナニかを、間違いなく理解している山崎さんは、サングラス越しでもわかるくらいの殺気を放つ。

「彼女W達Wのステージは確かに素晴らしかったと思いますよ。」

「ふ〜ん、達、ねぇ…」

沖田さんの腹黒さは益々アップしている。
何なんだ、あなた達は。

「ソウジ、せっかく本人が来てくれているのに、雰囲気を悪くするな。」

「ハジメ君だってポカーンと見惚れてたじゃない。
何気に前のめりになってたの、僕知ってるよ。」

「んなっ…///!!!」

そんな彼らのやりとりを漫才とでも思ったのか、三木は上機嫌で笑っている。

「確かにあれは見事だったぜ。
俺もいくつかクラブだなんだと遊んでるが、ここのはレベルが高いな。

それに…」

私の腰を抱き、その手が素肌を撫で始める。
いつまで経っても慣れない不快感を押し殺しながら、耳元で囁かれる言葉を聞く。


「俺の下で喘がせたくなるくらい、お前は魅力的だったぜ。」


吹きかかる吐息が気持ち悪かった。
ふるりと震わせた身体を、悦びととったらしい三木は、笑みを深めながら腰を抱く腕の力を強めた。

不快感がピークに達しそうになったその瞬間、思わず握りしめかけた拳にそっと触れたのは、山崎さんの手だった。

ほんの一瞬、包み込むようにポンと触れたその手の温かさに、吐き気や不快感が霧散するのを感じた。
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