薄桜鬼(現代・オリキャラ)

□壬生警察署 生活安全課 2
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銀フレームの眼鏡の奥にある紫紺の瞳ーー
山崎さんの視線は真っ直ぐこちらに向けられていた。
それはあり得ないW彼氏Wに対する興味本位なものではない。
彼は間違いなくこちらの唇を読んでいる。
「わかった、今夜楽しみにしてる。」
私の声音が変わったことに気づいたヤツは、『詳しいことは後で』とだけ告げて電話を終えた。
その間も逸らされることのない視線。
私も真っ直ぐ見返しながら、席へと戻る。
「山崎さん、私にだって恋人くらいいるんですよ?」
イスにかけながら、口にする。
明らさまな視線に対する批判だ…そう一般的に考えれば。
「そうだな。」
山崎さんの表情は変わらない。
けれど、紫紺の瞳は面白そうに細められている。
まるで真実を知っているかのようなーー
「ヒトは見かけによらないんですよ。」
これは、あくまでも一般的な話だ。
「そうだな……本当に、ヒトは見かけによらない。」
そう、一般的な話なのだ。
だと言うのに、山崎さんが私に向ける眼差しはどこか慈愛に満ちていた。


2 終
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