b BLEACH

□トップバースデー
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柔らかな髪を乱暴に引いて顔を寄せれば躊躇なく目の前まできた唇に吸い付いた。
舐め上げると薄く開いた口から吐息が洩れ、その隙に舌を捻じ込む。
甘い唾液を十分に堪能してから離せば、睨むような目つきで彼女は俺を見上げていた。


「何をしているんですか、銀城さん」

「何でもくれるって言っただろ」


いつもより低い彼女の声に笑ってしまいそうになる。
毎日のように雪緒やリルカに抱き付かれては頭を撫でている時の優しい微笑みはどこへいったのだろう。
綺麗な声を聞かせてくれなんてことは言わないが、彼女のこの様子は初めて目にする。
怒って、いるのだろうか。


「そんな顔リルカに見せたら可愛くないって泣かれるぞ」

「見せるわけがないでしょ?今のあなたの行為に腹を立てているんです」


潤んだ目が俺を拒絶しているようだ。
ずっと欲しかったものだというのに、どうして彼女は俺を睨むのだろう。
誕生日だからと欲しいものを聞いてきたのは彼女の方だというのに。
だけどその顔を見せるのは、俺だけだと思えば少しばかり優越感にも浸ることが出来る。
鼻で笑うとさらに鋭くなった目つきにたじろぐこともなく部屋のソファーに腰掛けた。


「嫌だったか?」


許可を取れば良かったのだろうか。
今からキスするぞ、などと声に出してみても悪くは無いがそこで拒否されても俺は同じ行為に及んだだろう。
結果は変わらない。
こうやって睨まれて、低い声で問質されて、俺に笑顔を向けなくなるのだから。
黙ったままの彼女に次は何と声をかけようか、出て行くなんて有り得ないとわかっているからこそこの余裕がある。
だけど目の前にある彼女の足にナイフを刺して、歩けなくしてでも側に置いておきたいと思う俺は、相当彼女に惚れ込んでいるらしい。
誕生日プレゼントなんて欲しいわけではない。
ただ彼女がそれになってくれるというのなら躊躇なく俺は手中に収めるつもりだ。
俯いて自嘲してしまいそうになるのを堪えれば、ひやりとした何かが俺の顎を持ち上げる。


「嫌なわけありません」


未だ睨みつけてくる彼女の顔が目の前にあって、澄んだ瞳に俺が映し出されているようだ。
顎にある手を引けば膝の上へ越しかける彼女の後頭部へ手を回し、今度はそっと口付ける。


「明良が欲しい」


見下ろしてくる目は既に吊り上がってなどおらず、ゆっくりと弧を描く口元にまたも吸い付いた。首に回された腕が俺を引き寄せる。
角度を変えて互いに欲しがるように舌を絡ませれば、どうして腹を立てたのだと今度は俺が問質したくなった。
こんなに欲情しているくせに、どうして俺を睨みつけた。
だが唇が離れた後の彼女の笑顔を見てしまえば、そんなことももうどうでも良くなるほど満足してしまう。


「私はもう、銀城さんのものです」


今までで最高の誕生日だと抱き締めれば、耳元で囁く彼女の声に目を閉じた。


「生まれてきてくれて、ありがとうございます」



(でも髪を引くのは辞めて下さい)

(お前そんなんで腹立てんな)






END


Happy Birthday!
銀城空吾生誕祭2015

(プリーズ ブラウザバック)



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