企画

□【クリスマス企画2015桐皇学園高校バスケ部のクリスマス直前恋模様-諏佐】カップルを見守る
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親友の***は、よく部員に心配をさせる。あ、部員だけじゃなかった、監督もだ。他校への練習試合や公式戦が行われる大きな体育館ではよく迷子になるし、容姿のせいで知らない男性から声をかけられることもしばしば。あまり強く物を言えないコだからはっきり断ることも出来なくて、気が弱いせいか無視することも出来ない。そのお蔭でといったらあれだけど、ずっと相談されてきた諏佐さんとの仲が上手くいったのは私も嬉しかった。だけどそれは同時に私から***を奪われたような感覚でもあった。だって、本当に、諏佐さんが***から離れないんだもの。


「桃井、***は?」

「……知りません」


嬉しかったのは本当のことだけど、やっぱり少しだけ悔しいから今日は意地悪をしてみた。
諏佐さんが***の居場所を聞いてくるのは2人が交際を始める前からだから慣れたもの、知らないと言ったけれどほんの3分前に「ジュース買って来る」と告げられている。
WCが終わってからの冬休みは諏佐さんが***を隣に置いて勉強するなんて意味不明なことをしていたから私と全然遊んでくれなかったんだ。3学期が始まった学校でぐらい***を独占させて欲しい。そりゃまあ、引退した諏佐さんに比べて私は部活中ずっと一緒にいられるけど、仕事内容が異なるためにハグはその間に2回が限度だ。ドリンクを作りに行った***は大体他の部の連中に捕まることが多いから、帰って来るのも遅いし私は監督とメニュー考案で捕まることもある。一緒に帰ろうと思っても図書室で今吉さんと一緒に勉強している諏佐さんがちゃっかり連れて行っちゃうから、結局私は大ちゃんと帰るはめになる。たまに桜井くんも一緒に。


「げ、じゃあアイツ今1人かよ」


怪訝な顔をした諏佐さんは深い溜息を吐いて踵を返した。探しに行ったのだろうか、と呆れた直後に彼の言葉の意味を考えてみる。1人、ということを脳内で巡らせれば血の気が引いたように手が冷たくなった。そうだ、そうだそうだ。***ってば諏佐さんと付き合い始めてまた一段と可愛くなっちゃったから3学期に入って人気度がまた急上昇したんだった。彼氏が出来たからと潔く身を引く人ばかりではないとわかっているから大ちゃんにまで出来るだけ目を離さないでって言ってたのに、私がこんなことしてちゃダメダメだ。
とりあえず電話をしてみても学校ではサイレントモードにしている彼女が気付くわけがなく、何度目かのコール音の後それが留守番電話サービスへつながった。もう何度も経験しているからそれはわかる。どこの自販機に買いに行ったのだろう、いや、もしかしたら購買部かもしれない。***のお気に入りのジュースはどこにでもあるもの、そして人気があるために売り切れになっていることも多々ある。変なところで頑固だから仕方なく違うジュースを買ったりは絶対にしない。探し回っているからこそこんなに戻って来るのが遅いのだろう。
とにかく私も探しに行こうと近い場所から自販機を回ると、既に諏佐さんが彼女を見つけていた。


「お前最近さらに絡まれるな」

「サッカー部の方達には何度も連絡先聞かれてるんですけど……教えた方がいいですかね」

「教えんでいい」


***より目線が下になるよう屈んだ諏佐さんが彼女の頬を優しく撫でているのが見えて、どうにも近寄れない空気を醸し出す2人に歩を進めることなんて出来やしない。意地悪したことを反省すると同時に真っ先に***を見つけることが出来る諏佐さんを尊敬していると、目の前の2人は漸く私に気付いたようだ。


「あ、さつき、今日部活終わったら一昨日オープンしたカフェ行ってみようよ、ケーキが美味しいってさっき教えてもらったの」


満面の笑顔でそんなことを言われて、今日は早く帰って課題をやろうと決めていたのもすぐに頭の中で取り消してしまった。諏佐さんはいいのかと問えば可愛らしく首を傾げる姿に、私も元副主将もグウの音も出せない。彼はもちろん今日も***を送り届けるつもりだったのだろうが、こんな可愛い素振りを見せられては私同様、脳内で予定を書き換えてしまっただろう。


「諏佐さんって***にほんとに弱いですね」

「それ絶対 俺だけじゃないだろ」


あ、バレた、なんて笑っていると、***は不思議そうにまた首を傾げる。その仕草がやっぱり可愛すぎるから、飛びつけば彼女はよろけながらも抱きとめてくれた。




(わっ、さつき?)

(諏佐さんに負けないくらい***のことスキ!)

(俺は負けてる気がしない)





END
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1万打記念リクエスト/雪那様




(プリーズ ブラウザバック)



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