企画

□【クリスマス企画2015洛山高校バスケ部のクリスマス直前恋模様-根武谷】ヒロインがレギュラーと絡む
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(オレ司二人称・三人称不明。すみません。先に謝罪。)





『冬帰んねーからお前が来い』


たったそれだけの電話は一方的に切られてしまい、数十秒携帯の画面から目が離せなかった。
意外にもお父さんにまで断りを入れていた栄吉は唐突に私を呼び付けた。中学の修学旅行以来の京都。正月明けの雪が積もるそこは予想以上に賑やかだ。


「あ!栄ちゃんの彼女サーーーン!」


人がごった返している駅で迎えに来てくれているはずの栄吉を捜していると、後ろからあまりにも大きな声で呼ばれたことでビクリと肩が跳ねてしまう。振り返ればくりくりの目を輝かせた人が大きく手を振っていて、周りの人より頭が飛び出ていることもあって注目の的になっていた。
中学の頃から月バスで見たことがある人達、後方で腕を組んだ栄吉が不機嫌極まりない顔をしているけれど、そんなことより、とすぐにそこまで駆けつける。私をまじまじと見る実渕くんに大きな目をパチクリさせている葉山くん、柔らかな笑みを浮かべて真ん中に立っているのは恐らく赤司くんだろう。月バス復習しといてよかった、と安堵の息を小さく吐いて自己紹介をすれば、「なるほど」と3人は口端を吊り上げた。


「栄吉がマネージャー2人に見向きもしないのわかったわ」

「栄ちゃん牛丼と結婚するのかと思ってたけどよかったー」

「根武谷は名前も教えてくれなかったんですよ。あなたのことを本当に独占したいようなので」


オレ達にも恋人はいるんですが、と笑う赤司くんは律儀に自己紹介をしてくれたけれど、言われたことが恥ずかしくて耳を塞いでしまいたくなった。顔が熱いから赤くなっているとわかるが、見上げれば目の前で栄吉まで赤くなっているから思わず笑ってしまう。どうして皆一緒なのだろうと疑問を持ったのはその直後で、勘付いたのか赤司くんが先に口を開いた。


「根武谷がいつになくそわそわしていたので」

「私達が問い詰めたら明良ちゃんが来るって言うから〜」

「部活も休みでヒマだったから付いてきた!」

「ついて来んなっつったのによ」

「そ、そうなんだ」


それで栄吉は不機嫌なのかと漸く納得出来て、仲良いんだな、と何故だか嬉しくなってしまう。
それから葉山くんが野良猫が多い公園に連れて行ってくれたり、実渕くんオススメのカフェでお茶したり、京都独特の街並みの疑問に赤司くんが答えてくれたりと、終始笑っていた楽しい時間はあっという間に過ぎてしまった。相変わらず栄吉は不機嫌な様子だったけれど、空の色が変わり始めた頃に急に腕を引かれて立ち止まる。習うように立ち止まった3人の表情は、楽しそうにニヤついているようだった。


「少し悪ふざけが過ぎたかな」

「いつ怒るのか楽しみにしてたのよね」

「栄ちゃんごめんって!オレらもう帰るからっ」


明日は練習見に来てね、と実渕くんから綺麗な笑顔を送られ、騒がしかったのが一瞬で静かになる。見上げれば未だに私を睨む栄吉がどことなく面白くて笑い転げてしまいそうだったけれど、無理やり唇を奪われてはそんなことも出来なかった。


「くっそアイツら、」

「えーきち妬いちゃった?」

「あ?妬くかバカが」


説得力の無い声色は少しばかり恐いけれど嬉しくて堪らない。強面で図体は大きいのに器小さいなー、なんて考えてみても頬は勝手に緩んでしまう。
今日はホテルに一緒に泊まれる。
しばらく会えなかった分、いっぱい名前を呼んでもらおう。




(ね、えーきち、妬いたんでしょ?)

(……お前はオレのだっつっただろ)





END
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1万打記念リクエスト/因果様




(プリーズ ブラウザバック)



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